糖尿病も怖いけど...血糖値が去年より急に上がった人が疑うべき「がん」とは?
がんの可能性も
もちろん健診は病気の診断ではないので、空腹時血糖値が126を超えていても、糖尿病と確定したわけではありません。病院でより詳しい検査を行い、医師が診断して、はじめて糖尿病かどうかが決まります。 血糖値が高いひとのなかには、自己流のダイエットで血糖値を下げようとするひとがいます。とくに最近は、低糖質ダイエットが人気です。しかし大半のひとは長続きしません。糖質ゼロのビールなども人気ですが、たくさん飲み食いするための、自分への言い訳になっていることも少なくありません。メーカー側も、実はそこを狙っているようにも見えます。また一時的にやせても、リバウンドでかえって太ってしまうひともいます。自己流ダイエットでは、かえって逆効果になることもあるので、注意が必要です。 しかし血糖値が去年と比べて急に上がっていたら、ちょっと気になります。膵臓がんかもしれないからです。 膵臓は血糖値をコントロールするホルモンを作っています。インスリンとグルカゴンです。インスリンは血糖値を下げ、グルカゴンは上げます。ちょうどブレーキとアクセルの役割を担っているわけです。ところが膵臓がんになると、これらのホルモンを作り出す細胞が破壊されてしまいます。 ただ、血糖値を上げるホルモンは、グルカゴンだけでなく、副腎髄質のカテコールアミンや甲状腺ホルモンなど、数種類が用意されているのです。一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。そのため膵臓がんになると、血糖値が上がってくるのです。実際、健診の血糖値がきっかけで病院を受診し、膵臓がんが早期発見できたというひとも少なくありません。 空腹時血糖値が126以上で、とくに去年よりもかなり高くなっていたら、素人判断はせず、まずは専門医を受診するのが賢明だと思います。 『日本国民の6人に1人が糖尿病⁉...気になる人が注目すべき「HbA1c」とは何か』へ続く
永田 宏(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授)