「年内入試」で合格、苦労する学生たち 大学で増える中高授業「学び直し」支援
「どこがわからないか、わからない」人も
学生支援を行っている大学をいくつか紹介しよう。神奈川大学の教育支援センターは学習相談の利用をこう呼びかけている。 「大学での学修の基礎となる『英語』『数学』『文章表現』について、教育経験の豊富な学習相談員(元高校教諭)が、無料で学びをサポートします! 主に高等学校までの学習に不安がある学生を対象としていますが、意欲的、主体的に自分の力を発展させたいという学生にも、状況に応じたアドバイスを行います。基礎学力を向上させたい、学修の理解をより深めたいなどの相談に経験豊かな学習相談員が対応します。授業や課題だけでなく、就活・検定・書類を書く際の文などお気軽にご利用ください!」(大学ウェブサイト) 東京工芸大学の学修支援センター(工学部)では、「基礎が身についていないと感じたとき」「授業でわからないことが出てきて困ったとき」「勉強のしかたがよくわからないとき」「さらに進んだことを勉強したいと思ったとき」に寄ってほしいと訴えている。同センターは、カフェのような気軽な雰囲気で、高校での教育経験が豊富な先生や大学院生などが、さまざまな質問や相談に応じている。オンラインで遠隔地からの問い合わせにも対応している。 工学部2年の利用者は「私が学修支援センターを利用し始めたのは、高校のときに習っていない数学の範囲を大学で習い始めたのがきっかけでした。授業でよく分からなかったところも、このセンターの先生は一対一で細かく教えてくれたので、大学の中にある塾のような感じで利用することができました」と感想を述べている(大学ウェブサイト)。 広島修道大学学習支援センターでは、「学生一人ひとりの学びをサポート」をモットーに、学習アドバイザーによる相談を行っている。学習アドバイザーはこう記している。「大学生になると、自分で様々なことに気を配り、自己管理しなければなりません。特に学習に関しては、大きな変化があるでしょう。そんな時だからこそ、学習についてわからないこと、気になることを学習支援センターで一緒に解決していきませんか。充実した大学生活を送るためにも、いつでもセンターで相談してみてください」(大学ウェブサイト)。スタディスキルや英語に関するワークショップを開いており、レポートの書き方や発表の仕方、英語の勉強方法などを教える。 明治大学学習支援室も学生の悩みを先取りするような形でサポートしている。 「学習支援室は皆さんの大学生活のなかの学習面をいろいろな形でサポートしてゆくところです。たとえば、『授業でわからないところがあるけれど、授業中に質問しにくいなあ』『宿題が出たけれど、わからなくて出来ないや』『どうやって勉強したらいいかわからない』『レポートを書く時のコツってあるのかな?』『こんな目標があるんだけど、それに向けての履習はどうしたらいい?』『図書館って、どんなふうに使うの?』 また、学習支援室以外での学習支援もご紹介します」 同大学では次のような支援も行っている。 *特別入試入学者への入学前教育の実施 *生田キャンパスにおける基礎科目の補習講義(フォローアップ講座) *スポーツ特別入試入学者対象の語学授業の設置 *身体の機能に障がいのある学生への学習支援活動 (大学ウェブサイト) 工学院大学学習支援センターでは、基礎講座と個別指導がある。基礎講座では、大学で専門的な学習の前提となる基礎科目(数学、物理、化学、英語)を中心に、入学前に十分習得できなかった科目と大学の講義内容をつなげる授業を行う。個別指導では、未履修科目の補習、レポート作成のアドバイス、試験勉強のサポートなどで、一人ひとり(5人以下のグループでも対応)の疑問にとことん応える指導をしている。 同センターの講師が次のように励ましている。学生目線なのがいい。 「『ココを詳しく知りたい!』や『ココがわからない!』から『どこがわからないか、わからない!』まで、遠慮なくお尋ねください。理解できたと思える瞬間までとことんおつき合いします」(数学) 「理解の早さや深さには個人差があります。なので、すぐに分からなくても恥ずかしいことではありません。しかし、分からないままでは将来苦労するかもしれません。是非たくさんの疑問や質問を持ってきてください。一緒に考え、楽しく学んでいきましょう!」(物理)(大学ウェブサイト) こうした学習支援センターで教えるレベルは、大学によって、というよりは、学生によってまちまちだ。難易度が高い大学であっても、学力不足で授業についていけない学生がいる。