【解説前編・自民総裁選告示】史上最多9人の立候補者「顔ぶれ」から「戦い」「自民党」の行方まで専門家が詳しくお伝え
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
(スタジオ解説) 総裁選には12人が出馬に意欲をみせていましたが結果的に推薦人20人を集めた9人が立候補することになりました。顔ぶれから選挙戦、自民党の行方まで、番組コメンテーターの元日本テレビ官邸キャップで政治ジャーナリストの青山和弘氏が解説します。 (徳増 ないる キャスター) コメンテーターは元日本テレビ官邸キャップで政治ジャーナリストの青山和弘さんです。きょうはリモートでのご出演となります。総裁選には12人が出馬に意欲をみせていましたが結果的に推薦人20人を集めた9人が立候補することになりました。青山さん、史上最多9人になったのは派閥解消の影響があったのか?また、この顔ぶれは想定内だったのでしょうか? (コメンテーター 元日本テレビ官邸キャップ・政治ジャーナリスト 青山和弘氏) はい、間違いなく派閥解消の影響だと言えると思います。やはり普段、派閥がある時はですね、同じ派閥から出るというのは基本的には無いのですね。例えば今回、まさに静岡の上川氏が、元岸田派の中で、林氏という座長が出るにもかかわらず、出馬するということになった。茂木派からは加藤勝信元官房長官も出馬する、あと、小林鷹之氏みたいな若手の代表みたいな人が派閥横断的に出る、こうしたこと自体は、やはり派閥が無くなったということの証左だと思います。顔ぶれについては、20人の推薦人の人たちが集められるかどうかというのが焦点だったのですが、結構、集める人が多かったなという印象なんです。9人も出てきたわけですから。これも、派閥が解消した中で、こうした派閥によらない人たちも出してあげたい、今回は、しがらみを超えて、こうした人を出そうというようなモチベーションがあった。そういうような動きがあったということが、今回の9人という数につながったと思います。 (徳増 ないる キャスター) では、ここで総裁選の仕組みをみていきましょう。5日間の選挙戦がスタートしましたが総裁選は、国会議員票367票、党員・党友票367票を巡って争われます1回目の投票で過半数を得た候補がいなかった場合、上位2人の決選投票になります。青山さん、9人の候補者がいる今回は決戦投票になる公算が高いのでしょうか?各陣営どんな戦い方をすることになりますか? (コメンテーター 元日本テレビ官邸キャップ・政治ジャーナリスト 青山和弘氏) 決選投票になるとしても間違いないといってもいいと思うんです。推薦人20人×9人=180人が、ある意味、拘束状態にあるわけです。つまり、浮動票が議員の中では結構少ない、半分以下になっているわけなんです。そういう状況の中では、やはり党員票が1回目の投票では鍵を握ってくるわけなんです。ですから1回目の投票に向けて、どうやって党員の票を獲得するかというところで、いま、皆さん一生懸命になっているというところなんです。ただ一方で、決戦に2人残りましたと…、ただこの決選投票というのは、要は地方の票は、47都道府県に1票ずつという、ぐっと圧縮されて、議員の票が勝負になります。しかも、ほかの候補者を支援していた人が、いったいどこにつくことになるのかということで、全く別の論理が働くわけです。やはり1回目と決選投票で全く性格が違うというのが、今回の自民党総裁選の言わば難しいところだと思います。 (津川 祥吾 アンカー) 日本テレビが、9月の3日、4日、少し前なのですが、自民党の党員、党友を対象に行った電話調査では、石破氏、小泉氏、高市氏が支持を集めているようなんですが、青山さんも、この3人が中心となる戦い…そのような見方をされていますか? (コメンテーター 元日本テレビ官邸キャップ・政治ジャーナリスト 青山和弘氏) ちょっと前のデータですので、小泉氏とか高市さんの出馬表明の前ですので、若干変動があると思います。小泉氏がもうちょっと伸ばしている可能性が十分あると思うのですが、ただ、石破氏が強いのは、自民党の党員というのは、どうしても高齢者が多い、プラス、男性が多いんです。そのへんの支持というのは、やはり石破氏が割と高めに出るというのは、これ仕方がないというか、自民党員の特徴だと思うんです。ただ、小泉氏の記者会見は、非常に評価も高かったですから、そのへんがどのように出るのか、あと、このあと撤退した候補者、例えば青山繁晴氏の支持者は、そのまま高市氏にのってくる可能性がありますので、高市氏がどれくらい伸ばしてくるのかも焦点になると思います。あと、新しい顔としては、小林鷹之氏は、かねてから運動してきましたが、これからまだ伸びしろがあるのかどうか、さらに言えば、11日に出馬表明をしたばかりの上川氏が、これから女性などの支持をどれくらい集めて、党員票を掘り起こしてくるのかというのも、勝敗の行方にも少なからず影響してくる可能性はあると思います。 (津川 祥吾 アンカー) その上川氏は、どうしても「出遅れ感」というものは否めないと思うのですが、この3人の方以外の候補者としては、やはり党員、党友票を、いかに多く確保しつつ、2番手にどうやって潜り込むか、それが一つの戦いということでしょうか? (コメンテーター 元日本テレビ官邸キャップ・政治ジャーナリスト 青山和弘氏) 上川さんは、やはり出馬表明がギリギリになりましたので、出遅れというのは、これから挽回するのはなかなかハードルが高い、これは事実だと思います。私は11日の出馬会見にも現場に行って同席したのですけれども、上川氏が女性を活躍させたい、女性の代表としてやっていきたいという気持ち、思いは非常に強く伝わってきました。ただ、その一方で、例えば経済政策は具体性がいま一つ欠けていましたし、例えば焦点となっている「選択的夫婦別姓」の問題とかにも踏み込み不足なのは否めないんです。「政治とカネ」の問題もかなり丸まった表現になっている。このあたりが、これから政策論争になってくる中で、上川氏がどれくらい女性初の首相を目指すということ以外に、独自色を出せるか、ここも上川氏にとっては大きな勝負どころになってくると思います。 (津川 祥吾 アンカー) 残り15日間の戦いの中で、政策を、それぞれ皆さんが訴えて、党員党友票をいかに確保していくかということだと思うのですが、党員党友以外の方は、この論戦をどのようにみればよろしいのでしょうか? (コメンテーター 元日本テレビ官邸キャップ・政治ジャーナリスト 青山和弘氏) これは、新しい総裁が、自民党に生まれたら、すぐ総選挙をする…小泉氏は公言していますが、ほかの人が総裁になっても、ほぼその方向であることは間違いないと思うのです。やはりわれわれとしては、そのすぐ後に総選挙が控えてているのだということで、自民党の「政治とカネ」の問題を立候補者たちが、ちゃんと実現してくれるのかどうか、日本をどう導いていくのかどうかを自分事としてみていく、そして、総選挙の1票に生かしていくと、こういう見方をしていくことが必要なのではないかなと思います。 (津川 祥吾 アンカー) もう一点だけうかがいたいのですが、議員票の浮動票、だれに投票するのかまだ決めていない浮動票は、かなり数が少ないのではないかという話でしたが、党員党友の方の浮動票、これからだれに投票するか決める浮動票は割合多いというふうに考えていますか? (コメンテーター 元日本テレビ官邸キャップ・政治ジャーナリスト 青山和弘氏) そうですね、やはり党員の人たちの方が、ある意味しがらみはもちろん少ないわけです。動きやすいわけですね、だから動いてくる可能性は十分あります。ただ、焦点は9人出てきたことで、政策論争がなかなか深まりにくいところも事実だと思うんですね。このあたり、どれくらいお互いの対立点とか問題点というのをあぶり出されていくのか、ここが一つの焦点になってくるかなと思います。