広島・巨人・阪神「セ・リーグ三つどもえ決戦」の行方は? 「東京ドームでの直接対決終了」は吉と出るか凶と出るか!
では、それぞれの不安要素と解決策も見ていこう。広島は打撃力が課題で、得点数はリーグ5位と伸び悩む。 「長打のない左打者ばかり並ぶため、怖さがありません。ただ、8月になって右の大砲である末包(すえかね)昇大が復帰。復帰当初は当たりが出なかったものの、いるだけで打線の怖さが違います。たとえるなら、サッカースペイン代表に決定力のあるセンターフォワードが加わり、それまで延々とパス回しだけだったチームに決定力が加わるイメージです」 巨人は打線を牽引していたエリエ・ヘルナンデスが8月11日の中日戦で左手首を骨折。今季絶望と報じられた。 「交流戦以降、チームが上向いたのは明らかにヘルナンデス効果。それだけに痛いですが、後半戦から加入したココ・モンテスが打率.347と好調。ヘルナンデスと同じく横振りで、長打力はないものの、ふわっと柔らかい打率が残るスイングです。 内野ならどこでも守れるという触れ込みでしたが、そんなヘルナンデスをレフトで起用した阿部慎之助監督の柔軟性も光ります」 阪神の不安要素は中継ぎ陣の登板過多だ。防御率1点台で奮闘する桐敷拓馬は両リーグ最多の52試合、石井大智も37試合に登板している。 「岡田彰布監督は目先の勝利に焦りすぎている印象です。桐敷、石井共に素晴らしい投球ですが、勝負の9月を前に明らかに投げすぎ。かといって若手を試さず、状態の良くない伊藤を中継ぎに回すなどチグハグさが目立ちます」 従来の戦力にこだわりすぎるのは野手でも同様だ。 「捕手は梅野隆太郎も坂本誠志郎も打撃、守備共に本調子ではないのに、かたくなにふたりを固定。中川勇斗など若手にもいい捕手がいるのにチャンスを与えない。投手起用同様、将来の戦力を育てず、去年優勝した戦力で必死に食いつないでいます」 戦力が拮抗する3球団だが、気になるのは今後の直接対決の日程だ。巨人は9月に広島と6試合、阪神とは2試合を残すが、すべて相手の土俵での戦いとなる。今季ここまで広島戦を勝ち越す巨人だが、マツダスタジアムでは1勝4敗2分けと苦戦。阪神とは五分の成績ながら、甲子園では3勝6敗1分けとこちらも負け越している。 「巨人にとっては優勝のために乗り越えるべき試練です。西日本の球場ではいつも打線が振るわないので、割り切って岡本レフトなどは諦め、守備重視の布陣で挑み、接戦に持ち込むなどの工夫があってもいいと思います」 そして、各球団の主軸打者が仕事を果たせるかどうかも、最後の大きな鍵といえる。 「巨人は不甲斐ない状態が続く4番の岡本が本来の姿を取り戻せるかどうか。広島なら末包、阪神なら大山悠輔。投高打低のシーズンだからこそ、最後は主軸が打てるかどうかで差が生まれるはずです」 *成績は8月18日終了時点 文/オグマナオト 写真/時事通信社