「つみたてNISA」はほったらかしでOK?非課税期間20年の意味をあらためて問う
非課税期間が「20年」という意味をあらためて考えよう
金融庁は「平成27事務年度金融レポート」の中で長期投資の効果について触れています。非課税期間20年の合理的理由を示唆的に読み取ることができるデータを掲載しています。その内容は、1985年以降の各年から毎年同額ずつ国内外の株式・債券を4分割均等配分で買い付けし続けた結果、5年経過後と20年経過後の損益分布を示したものです。5年間だと損益がマイナスになっているケースもある一方で、20年間の場合はすべてのケースで損益はプラスとなり、かつ一定の範囲内にリターンの幅も収れんしています。“非課税期間20年”の政策意図は「つみたてNISA」参加者に20年間の投資継続を前提としてもらうことにあります。政策意図に則って20年間投資を継続した人は全員が相応の運用成果を享受できるという歴史的事実を踏まえて、途中でやめずに続けることの合理的重要性を説いています。 では積立投資はいったい何に対して有効なのか。それは毎月少額を同じリズムで投入していくコツコツ投資なら、相場の上げ下げは気にする必要がありません。また、下落相場では安く仕込めるお買い得を誰でも実践できますし、下がっても心地良く投資できる心境を持てるからこそ、ずっと投資を継続するための精神安定剤としての機能があるわけです。 「つみたてNISA」における「長期・積立・分散」投資でしっかり成果を獲得するための最も重要な行動規範は「継続」です。これを肝に銘じて、ゆったりのんびり気分で将来果実を育てていきましょう。 (セゾン投信株式会社 代表取締役 中野晴啓) セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。06年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。