Mr.マリックさん×LUNAさんが親子で『徹子の部屋』に出演。家族の仲を語る「やる気をなくした娘を変えた〈テレポーテーション〉」
◆退学を告げられはじめて娘と向き合う 娘 小学校は地元の公立だったけど、中学は私立の女子校。そこで私は校則を破りまくってた。やたら規律が厳しいんだもの。授業を中断して、先生が生徒のカバンをあさって抜き打ちの持ち物検査。化粧ポーチとか、全部取られちゃう。そういうのに反抗したい気持ちもあって、学校に行かず、渋谷センター街にしょっちゅうたむろしてた。 父 ある日、「ご両親揃って来てください」と学校に呼び出された。タクシーの中でママから「退学になる」と聞かされ、どうしてそんなことにとびっくりしたよ。 学校では、先生方がずらり並んでいて。「事情を聞きたいので娘を呼んでください」「担任の先生とも話がしたい」と言っても聞き入れてもらえず、「決定したことですから」の一点張り。そうしてLUNAは、中学という義務教育の途中で放り出された。 娘 はじめてパパが学校に来たのがそのときだったんだよね。《Mr.マリック》のままの衣装で来たのには驚いたけど。 父 映画の『ランボー3』を観た直後だったからね。大事な人を救出するため、ひとり敵地に乗り込むランボーの心境そのままで、ならば僕の勝負服であるこの格好で行こうと。 娘 学校中がザワついてた。(笑)
父 その後、公立の中学に転校したけど、LUNAはまったくやる気をなくしていたね。 娘 今度は共学だったから男の子がいて、小学校時代みたいに「マリックの娘だよ」って、またからかわれた。そういうのが面倒くさいのもあって、仲良くなった女の子たちと公園にたまったりしてた。 父 中学を卒業しても、何をするでもなく、引きこもりというのか、ずっとうちにいる。 娘 お小遣い稼ぎにバイトはいろいろしたけどどれも長続きせず、そもそも高卒じゃないと雇えないと言われたり。 父 中卒だと働き口を見つけるのも難しい。親として、いちばんどうしていいかわからなかったのがこのときだった。毎日、ブラブラしているし、そのうち、同じように学校に行かない子が集まって、LUNAの部屋がたまり場のようになった。夜中の2時、3時まで騒いでいるし。 娘 何をするわけでもないんだけど。ヒップホップに興味を持ち始めてたから音楽を聴いたり、クラブにもよく出入りしてたよね。当時はヒップホップの英語の歌詞の意味はわからないんだけど、包み隠さず自分を出し、何かを発信しようというパッションみたいなものが、自分にはすごく伝わってきた。 父 今の状況を変えるためには、テレポーテーションさせるみたいに一気に環境を変えないとダメだと考えた。岐阜の実家にはおふくろが一人で住んでいるし、素朴な環境のなかで自分を見つめ直すのもいいかと思って、「行ってきたら」と言ったんだよね。そしたら、すごく泣いて。 娘 「だって、ヒップホップがない。無理~!」(笑) 父 好きなことがあるならそれをやらせるのもいいかと、今度は関東圏にある全寮制の好きなことを1日中やってもよいという学校を見つけてきた。「ヒップホップをずっと聴いたり歌ったりできるよ」と勧めたけど、また「わぁ~っ!」と泣く。 娘 「東京じゃない~無理~」(笑) 父 親としてはなすすべがなく、ほとほと困り果てた。このままずっと働かないで家にいさせていいのか。親に依存しているわけだし。そんなとき、たまたまいいボイストレーナーの先生との出会いがあって。 娘 その先生から、私の大好きなアーティストさんがニューヨークの「アポロ・シアター」で歌っていると聞いて、「自分もニューヨークに行きたい!」と。 父 はじめて娘が自分の意思で「こうしたい」と言った。今の環境から抜け出すチャンスだから、僕は「よし、行け!」と送り出したんだよ。