簡易トイレ、50回分あっても足りないかも……? 山善に学ぶ、本当に必要な「防災グッズ」の揃え方
2024年は、元旦の能登半島地震にはじまり、8月8日には宮崎県日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生、翌9日に気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表するなど、否が応でも防災意識を高めなければならない出来事ばかりでした。また2025年1月は、阪神・淡路大震災から30年の節目でもあります。 そうしたなか、数多くの防災グッズを手掛ける山善が、メディア向け「タッチアンドトライ会」を12月10日に開催しました。同社は防災士の資格を持つ社員が商品開発に携わっており、新商品からロングセラーまで、さまざまな防災グッズが会場に集結。 特に「需要が拡大している」という簡易トイレを中心に、備えとして持っておきたい注目アイテムを紹介します。
「防災バッグ」は一家に一個じゃなく、一人一個揃えて
会の冒頭、同社の家庭機器事業部 第3商品統括部 商品企画4部長・小浜成章さんが説明に立ちました。16年から防災グッズ関連の商品開発を担当しており、18年には防災士の資格を取得。ロングセラーの「防災バッグ30」を生み出した人物です。 販売数170万個を突破した同社の「防災バッグ30」は、命を守るために必要な「一次避難用アイテム」30個を収納。懐中電灯、ホイッスル、ラバー手袋、EVAサンダルなどが入っています。価格は4800円(税込)。一家に一個ではなく、一人に一個揃えてほしいという思いから、できるだけ安価に設定しているとのこと。 バッグにあえて「余白部分」を作っているのが特徴です。季節や、使う人の年齢、性別に応じて、カイロやアイスノン、生理用品といったアイテムを追加してほしいという思いが背景にあります。 さらに高品質で、本格的なアイテムを備えたい人には「リュック&キャリー型防災バッグ30点セット YKB-30R」があります。価格は7980円(税込)に上がりますが、リュックとして背負えるだけでなく、キャリーとして引いて運べるうえ、簡易エアーマット・空気入れや簡易トイレといった、避難所生活に欠かせないアイテムも入っています。 同社が発売する防災アイテムのなかでも、トイレは備えにおけるキーアイテムです。実際に、同社における簡易トイレの販売実績の推移をみると、能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報をきっかけに伸びており、需要の拡大が見て取れるとのこと。 特に、能登半島地震で断水が長期化したことで、多くの簡易トイレを備えておく必要性が浮き彫りになりました。そこで同社は12月に「もしもの時に備える!緊急簡易トイレ」を発売。こちらは消臭・抗菌効果のある凝固剤や、10回分を1袋にまとめる処理袋などがセットになっていて、50回分と100回分の2種類を展開しています。 そんなにたくさん要るの? と思うかもしれませんが、小浜さんによると「1人あたり、1日に使う量は大体5個くらいの計算」とのことなので、1人で1箱(50回分)確保したとしても10日分。4人家族で1箱(50回分)使うとなると、2日ちょっとで使い切ってしまう量なのです。