【10年ひと昔の新車】アウディ Q3は、コンパクトだがアウディらしい1台だった
アウディ Q3(ニューモデル:2012年)
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アウディ Q3だ。 【写真はこちら】 アウディドライブセレクトを装着すれば、コースティングモードで燃費向上を図ることもできる。(全9枚)
業績好調のアウディから、初のプレミアムコンパクトSUV、Q3が日本にやって来た。日本の街中でも扱いやすいサイズに、2L 直噴ターボ+7速DCTを搭載。もちろん駆動方式はクワトロ4WDだ。ボディサイズは、Q5に対しふたまわりほど小柄。それでも全幅は1.8mを超えるが、250mm短い全長のおかげで取り回しは悪くない。 外観ではCピラーの傾斜したクーペ的なフォルムが特徴だ。LEDと光ファイバーを駆使したランプも先進性を感じさせる。コントラストバンパーとカラードバンパーが用意されているが、どちらも似合うので迷いそうだ。 アウディらしくドライバーを囲む形状のインテリアは、縦置きエンジンのアウディの右ハンドル車では左足が窮屈なものが見受けられるのに対し、横置きのQ3はあまり狭くない。また、ドア開閉時にどの角度でも止められる機構をクラスで初採用したのも特筆できる。狭い駐車場で乗降する際など重宝しそうだ。後席の居住性も十分で、オプションのサンルーフは絶大な開放感を味わわせてくれる。荷室の積載性もSUVとしての使い勝手への期待に応えてくれる。 パワートレーンは、2L 直噴ターボのTFSI+7速Sトロニック、駆動方式はAWDのクワトロのみ。ラインアップは2種類で、価格差は70万円。装備だけでなくエンジンスペックも差別化されており、まず211psの上級グレードが日本に上陸し、177psのエントリーグレードは秋の導入となる。もちろん他のアウディ車と同じく、Sラインも設定される。
プレミアムコンパクトに魅力的な1台が加わった
というわけで、今回試乗したのは上級グレードの211ps仕様。アルミを積極的に採用して比較的軽量に仕上げられた車体も相まって、走りは軽快だ。TFSIエンジンはパワフルでレスポンスも良く、箱根の上りも不満なく走り抜ける。 またQ3にはアウディドライブセレクトが装着可能で、新設定のエフィシェンシーモードを選択すると、惰性走行時にはシステムが自動的にクラッチを切ってエンジンブレーキによる速度低下を抑える、いわゆるコースティングモードとなり燃費を向上させる。さらに、アイドリングストップ機構やエネルギー回生システムも備わる。 峠道ではSUVであることを忘れさせる俊敏なステアリングレスポンスが心地良い。前後の駆動力配分を自在に制御するクワトロシステムとトルクベクタリング機能が的確に動作し、安定した中でダイナミックな走りを楽しませてくれる。車高が20mm低いSラインでは、さらに引き締まった乗り味となり、内外装の仕様もスポーティになる。 Q3は、コンパクトな中にもアウディらしさを凝縮した、いかにもプレミアムコンパクトSUVと呼ぶにふさわしい、魅力的な1台だった。
アウディ Q3 2.0TFSI クワトロ 211ps 主要諸元
●全長×全幅×全高:4385×1830×1615mm ●ホイールベース:2605mm ●車両重量:1610kg ●エンジン:直4 DOHCターボ ●総排気量:1984cc ●最高出力:155kW(211ps)/5000ー6200rpm ●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1800-4900rpm ●トランスミッション:7速DCT ●駆動方式:フロント横置き4WD ●燃料・タンク容量:プレミアム・63L ●JC08モード燃費:12.6km/L ●タイヤサイズ:235/50R18 ●当時の車両価格(税込):479万円
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