JR東日本、今後10年間で「Suica」の機能をアップデート 2026年秋に「コード決済」を追加
JR東日本は12月10日、中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」に基づき、今後10年間をかけ、Suicaの機能を順次グレードアップすると発表した。交通と決済の電子マネーから「生活のデバイス」のSuicaを目指す。 【写真ギャラリー】 ●Suica Renaissance 今までの「当たり前」を超える 今年6月に発表済していた、2028年度の「Suica アプリ(仮称)」のリリースに加え、「コード決済」機能や将来の「ウォークスルー改札」などの実装スケジュールを明らかにした。 まずは、チケットやSF(残高)のバリューをセンターサーバーで管理する新しいプラットフォーム型のシステムへの移行「センターサーバー化」を検討し、新しい「Suica アプリ(仮称)」では、たとえば、毎月3000円を払うことで、自宅最寄り駅を起点としてどの駅でも運賃が50%割引となるサブスク商品(割引上限あり)、「鉄道の日」などの記念日、駅ビルやイベントでの買い物に応じて届く鉄道クーポンなどを提供する。 将来的には(今後10年以内)、センターサーバー化により、現状の交通系ICカードのように改札機にタッチせずに通過できる「ウォークスルー改札」、改札機がない駅での「位置情報などを活用した改札」の実現を目指す。現状はSuicaエリアでしか交通系ICカードを利用できないが、「位置情報などを活用した改札」が実現すると、JR東日本の全線で新しいSuicaが利用可能になる。センターサーバー化によって、事前に設定したクレジットカードや銀行口座から乗車後に支払う「あと払い」の実現も目指していく。 こうした将来的なSuicaの機能強化に先立ち、26年秋頃にモバイルSuicaアプリを大幅にリニューアルし、現状のSuicaの上限額(2万円)を超える買い物が可能になる「コード決済機能」を追加する。電子マネー残高を送る・受け取る機能やクーポンなどの新たな機能も追加を予定している。 このほか、現在、自治体とJR東日本のMaaSの連携で実現している移動と地域のDXモデルを地域連携ICカードとの統合により拡張し、各地域に根差した「ご当地 Suica(仮称)」を28年度以降に展開する計画。あわせて移動や生活シーンでSuicaを利用したデータを活用し、よりシームレスな移動や健康的な食事の提案など、生活をサポートするサービスの提供を目指す。