巡査自殺6千万円賠償命令 熊本県に、長時間労働認定
2017年に熊本県警玉名署刑事課の巡査渡辺崇寿さん=当時(24)=が自殺したのは、長時間労働をさせたことが原因だとして、遺族が県に約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は4日、約6100万円の支払いを命じた。当直勤務時間を含む死亡前5カ月の時間外労働(残業)は、いずれの月も140時間を超えていたと認定した。 県警は当時、当直勤務を「断続的労働」として残業時間に算入していなかったが、判決は当直勤務中も「警察事象に従事する義務があった」とし労働時間と判断した。 品川英基裁判長は判決理由で、刑事課異動後の精神的・肉体的負荷は強度で「業務により精神疾患を発病して自殺に至った」と指摘。県警は渡辺さんの残業を削減する措置を講じなかったとして注意義務違反を認めた。 母美智代さん(64)は記者会見で「崇寿の名誉が回復された。胸を張って仏壇に報告できる」と話した。 判決によると、渡辺さんは17年3月に刑事課に配属。同9月に福岡県のサービスエリアに止めた車内で死亡しているのが見つかった。