大失速の浅田真央 フィギュア団体戦がもたらした影響
フィギュアスケート女子シングルで悲願の金メダルを目指す浅田真央が、ショートプログラム(SP)でミスを連発する悪夢の16位発進。優勝候補の一角であるユリア・リプニツカヤ(ロシア)も、ジャンプで手をつき、5位スタートとなった。 首位はキム・ヨナ(韓国)、2位はアデリナ・ソトニコワ(ロシア)。団体戦に出なかった2選手が軽快な演技でワンツースタートを切る一方で、団体戦に出た、浅田とリプニツカヤの動きは重たく見えた。はたして、団体戦はシングルに悪影響を与えているのだろうか。 浅田は、冒頭のトリプルアクセルで尻もちをつき、3つ目の「3回転ー2回転」のコンビネーションジャンプでは、「3回転」が2回転になってしまい、連続ジャンプをつけられなかった。自己ベストを20点以上も下回る55.51点で16位。上位3選手とは、約20点差もあり、金メダルどころかメダルも絶望的だ。 「自分の思っているような演技が全然できなかった。自分の体がうまく動かなかった」。浅田が気丈に言葉を絞り出す。しかし、その目はどこかうつろ。容易には受け止められない現実に、呆然としている様子だった。 実は、浅田の前にも同じように表情を凍り付かせていた選手がいた。リプニツカヤ。15歳のロシアの新星だ。今シーズンはグランプリシリーズ2大会で優勝。1月の欧州選手権では初優勝を飾っている。 ソチ五輪からの新種目である団体では、女子SPとフリープログラム(FP)の両方に出場し、団体金メダルに大きく貢献した。今やロシアのアイドルというだけでなく、世界的な知名度も急激に上がっている選手である。 持ち味は、ルッツ以外は非常に安定感のあるジャンプと、脅威の柔軟性。しかし、女子シングルのSPでは珍しく3回転フリップで乱れた。着氷後につま先のエッジが氷に引っかかって両手をついてしまったのだ。65.23点で5位。キス&クライでは、それこそ泣きそうな目になっていた。