大失速の浅田真央 フィギュア団体戦がもたらした影響
ソチ五輪では、団体戦に出た選手のミスが多くなっているようだとささやかれている。事実、男子シングルでは、金メダルを獲得した羽生結弦が、4回転サルコウでの転倒はともかく、3回転フリップで両手をついてしまうという「ハッピーじゃない」演技でフリーを終えてしまっている。 銀メダルのパトリック・チャン(カナダ)にいたっては、FPのジャンプで3度もミスをした。世界選手権3連覇中のチャンとは思えない失敗の多さ。ロシアフィギュア界の重鎮で、浅田のコーチを務めていたこともあるタチアナ・タラソワ氏のは「勝者なき勝利」と、男子シングルの争いを辛口で評した。 なぜ、ミスが増えてしまうのか。それは、団体戦に出場した選手として挙げた4人は、すでに一度、コンディショニングのピークを作っており、いったんは調子を下げている。だから、その後すぐに短期間でピーキングをするのは難しいのだ。 特にリプニツカヤはSPにも、FPにも出ており、その時点でも消耗が案じられていた。浅田の場合は、今シーズン腰痛に悩まされており、こちらも短期間で2度のピークを作るのは厳しい状況だった。また、男子のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)にいたっては、故障持ちだった影響もあり、団体戦の後の男子シングルは直前練習で転倒して腰を打ち、棄権している。 反対に、女子シングルSPで、軽やかな演技を見せて首位に立ったキムヨナ、2位のアデリナ・ソトニコワは団体戦に出場していない。キムは2月12日にソチ入りしたとき、「(団体戦に出た)日本や米国の選手じゃなくて良かった。体力的に負担が大きく、選手へのストレスが多い。やらないほうがいい」と本音を口にしていた。 羽生は「短期間に2度のピークを作るのは大変だけど、選手は決められたスケジュールの中で戦っていくだけ」と前向きなコメントをしていたが、そう言えたのは、19歳という若さが関係しているのかもしれない。回復力は年齢とともに下がるものだからだ。