『のび太』役の声優・小原乃梨子さんのお別れ会にドラえもん『静香』役の野村道子「5人組が私だけになちゃった」
アニメ「ドラえもん」の野比のび太役や「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」のドロンジョ役などで知られ、7月12日に88歳で亡くなった声優の小原乃梨子(本名・戸部法子)さんのお別れの会が30日、東京都内で行われた。声優の羽佐間道夫(91)、野村道子(86)、水島裕(68)、水田わさび(50)、かかずゆみ(51)ら関係者約250人が参列し、故人を悼んだ。 祭壇には2017年11月4日に撮影した、ほほ笑みかける小原さんの写真が飾られ、小原さんが大好きだったバラの花2500本が祭壇を彩った。発起人代表で小原さんの長男、アニメーターの戸部敦夫は「私にとっては母親。それ以上でも以下でもない存在ではありますが、私よりも皆さまの方が、小原のいろいろな作品を受け取っていただき、小原の心に近いものがあるのではないかと思っております」とあいさつ。 小原さんの所属事務所「81プロデュース」の南沢道義社長は、「先日、(小原さんの)長年の盟友であった大山のぶ代さんの訃報が届きました。なんという巡り合わせなのでしょうか。(大山さんが演じた)ドラえもんとのび太はどこまでも仲良しで一緒なのだと思いました。天国で(原作者の)藤子不二雄先生と再会し、楽しく語り合っている姿が浮かびます」と大山さんとの絆の深さをうかがわせた。 バイオリンの演奏で、小原さんが声優を務めていた時代の「ドラえもん」のオープニングテーマ「ドラえもんのうた」、「ヤッターマンの歌」などが流れる中、参列者たちが献花。その後、羽佐間、野村、水島、水田、かがずの囲み取材が行われ、小原さんとの思い出などを語った。
羽佐間は「アニメというジャンルの声優では彼女が指導者であり、本当に長い間、ありがとうございました」と感謝。現在、「ドラえもん」でドラえもん役の水田だが、以前、同作にいろんな役で出演。その際を振り返り、「のび太くんが一番しゃべっている役なのに、発声方法とか後輩の私を指導してくれて本当に後輩思いの先輩でした。私はそんな余裕がないので、携わってみてすごく気づきます」と羨望(せんぼう)のまなざしを向けた。 野村は「(亡くなった大山さん、小原さんと)3人で本当によく遊びました。外国も本当にいろんな所に行きました」と振り返った。野村は小原さんと同時期の「ドラえもん」で静香役を演じていた。大山さん、小原さん、ジャイアン役のたてかべ和也さん、スネ夫役の肝付兼太さんはすでに天国に旅立っただけに、「さっき小原さんの声を聞いた時、『私だけ残っちゃった』って焦りました。5人組が私だけになちゃった。残りの時間を一生懸命楽しもうかなと思いました」と4人に誓った。
中日スポーツ