東京五輪レスリングの開催国出場枠減少で困惑
高谷が言うアジア予選とは、五輪出場権利を獲得するシステムのうち、五輪開催前年の世界選手権に続き、第2ステージにあたる大陸別に行われてきた大会だ。 ヨーロッパ、アジア、北中南米、アフリカとオセアニア、の4地区で行われ、ロンドン五輪とリオ五輪では、上位2選手に出場資格が与えられた。移動の負担が小さく対策が立てやすいこともあって、日本のフリーとグレコは、この大陸別予選で出場権利を得るケースが多い。高谷自身、二度の五輪はいずれもアジア予選で2位に食い込むことで出場権利を得たし、リオ五輪に出場した男子の4選手はすべて、このアジア予選の結果で五輪出場を果たした。 アジア予選について「選手数がかなり減らされたので、大陸別予選では優勝以外、出場権利が与えられないかもしれない。今までは、世界選手権でイランやウズベキスタンなど、アジアの強豪国が五輪出場権を取りこぼしても、なんとか五輪にしがみつける可能性があった。これまでより五輪出場そのものが厳しくなるだろう」という分析は、複数の指導者から聞かれた。 その一方で「来年から階級と試合形式が大きく変わるので、人数削減よりもそちらが気になる」という人も多い。新しい階級と試合形式はまだ決まっていないが、大まかな試案は公表されている。 まず、階級区分が新しくなる。五輪で実施される階級はこれまでフリー 57kg、65kg、74kg、86kg、97kg、125kg グレコ 59kg、66kg、75kg、85kg、98kg、130kg、 女子 48kg、53kg、58kg、63kg、69kg、75kgだったが、東京五輪へ向けて、フリーとグレコ 60kg、70kg、80kg、90kg、100kg、130kg、 女子 48kg、54kg、60kg、66kg、72kg、78kgとする案が有力だ。 さらに、現在は試合の前日夕方に計量し1試合目から決勝まで1日で終えるが、新制度では1回戦から決勝を2日間かけて行い、計量も2度実施する予定だ。これらの詳細は6月29日に開催される世界レスリング連盟(UWW)の技術委員会で最終案にまとめられ、8月の世界選手権期間中に行われる理事会で決定となる。 レスリングの強豪国であるロシア連盟会長が座長を務める技術委員会のメンバーに日本は選ばれていないので、最終案が公表されるのを待つしかない。