【ウクライナ戦争終結へ私たちが知っておくべきこと】プーチンとゼレンスキーは痛みを受け入れることができるのか
2024年12月12日付フォーリン・アフェアーズ誌は、ウクライナの戦争を終わらせるには、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟とウクライナ領土の名目上の一部譲渡で合意するしかないとするマイケル・マクフォール元駐露米国大使の論説を掲載している。 トランプの再選で、ウクライナ戦争はどうなるか。トランプがウクライナへの援助を削減すれば、プーチンは戦い続けようとするだろう。 プーチンをなだめることで平和は生まれない。NATO加盟を伴う安全保障と引き換えにウクライナに名目上、領土の一部をロシアに移譲するという妥協だけが恒久的な平和を生み出すだろう。 和平合意に向けて取り組むには、トランプはまずウクライナへの軍事援助を加速し、戦場で膠着状態を作り出すべきだ。プーチンが真剣に交渉するのは、ロシア軍がウクライナ領土を奪取する力を失った時かロシア軍が劣勢に陥った時だけだ。 トランプはゼレンスキーをも説得しなければならない。そのためには、ロシア軍に占領されているウクライナ領土すべてを解放するという試みを断念させる必要がある。 戦闘で殺された同胞のために戦っているウクライナ兵の多くに武器を手放させるのは非常に難しい。ゼレンスキーとウクライナ国民は、NATO加盟という対価が得られない限り、そのような犠牲を払うことはないだろう。 これは、ウクライナ国民に戦闘をやめるよう説得するためにトランプが使える唯一の切り札だ。ウクライナのNATO加盟は、ロシアとウクライナの国境に恒久的な平和を維持する唯一の方法である。 懐疑論者たちは、ウクライナのNATO加盟に対するプーチンの懸念を過大評価している。プーチンはNATO拡大を阻止するためにウクライナを侵略したわけではない。プーチンの侵攻には、ウクライナとロシアを一つのスラブ国家に統合し、ウクライナの西側志向の政府を打倒し、国を非武装化するという別の目的もあった。 この和平案のメリットをトランプに納得させるのは容易ではないだろう。しかし、ウクライナをNATOに加盟させることで、トランプは外交政策の優先事項の一つである負担分担において大きな勝利を収めることができる。 NATOに加盟すれば、ウクライナ軍は同盟国の中で最も経験豊富な欧州軍となる。ロシアと国境を接する他のNATO同盟国に、ウクライナ軍が習得した空、海、陸のドローンを供給することもできる。 トランプは、ウクライナのNATO加盟により米国は欧州での防衛費を削減し、アジア太平洋地域で拡大する中国の影響力を抑えるための資源を解放できると米国民に説明できる。トランプがこの和解の仲介に成功すれば、彼が切望するノーベル平和賞の候補になるかもしれない。 * * *