新天地の三遠で飛躍の時を迎える吉井裕鷹、新たな壁に感じるやりがい「課題を改善していくことは人としての醍醐味です」
「近い将来、今回の経験が良い経験だったと言えるように改善していきたい」
三遠ネオフェニックスはアウェーでの琉球ゴールデンキングスとの開幕節を1勝1敗で終えた。初戦はリーグ屈指のハイパワーオフェンスが炸裂し、オーバータイムの末に96-92と競り勝ったが、第2戦は琉球のフィジカルな守備を攻略し切れずに74-82で敗れた。あと一歩で連勝を逃してしまったが、ローテーションの約半分が新戦力とまだまだ発展途上の中、優勝候補の前評判に違わないパフォーマンスを見せた。 この新戦力の中でも特に目立っていたのは吉井裕鷹だ。日本代表としてワールドカップ2023、パリオリンピックで中心メンバーとして活躍してきた吉井だが、ことBリーグになると昨シーズンまで在籍したアルバルク東京では出場機会に恵まれなかった。昨シーズンは55試合に出場するも平均プレータイムは10.5分に留まり、チャンピオンシップ・クォーターファイナルでは一度もコートに立つことがなく、1勝2敗で敗れた。 しかし、三遠に加入した現在はこれまでと大きく変わった。開幕戦から先発起用され、オーバータイムにもつれたこともあり、いきなり31分1秒のプレータイムで7得点4アシスト3スティール2リバウンドを記録し、攻守にわたって活躍。そして2試合目も27分40秒の出場で9得点を挙げるなど、存在感を示した。 また、スタッツ以上の鮮烈な印象を残してもいる。オフェンスでは2日間を通して、リーグ屈指のフィジカルを誇る琉球のゴール下に果敢にドライブして何度かレイアップを決め切り、守備では持ち味のフィジカルとフットワークを生かした密着マークでヴィック・ローに仕事をさせなかった。 そんな吉井は個人のスタッツに関心はなく、チームの勝利だけを考えている。だからこそ、第2戦目の会見では「第1クォーターで、相手がタフにやってきたのを弾き返すことができなかったのが全てだったと思います。相手どうこうはあまり関係なく、自分たちが遂行しないといけないことができなかったのが敗因です」と苦い表情を見せた。 中心選手として終盤の勝負どころでコートに立つなど、新天地で躍動していることについて聞くと、「個人的にはBリーグでこういう時間帯を体験することはありがたいことです」と語った後、「なんというんですかね……」と、しばし考えた後でこう続けた。「近い将来、今回の経験が良い経験だったと言えるように、課題を改善していきたいです」