自分がどう生きたいか…に向き合いたどり着いた、やりたいことがどんどん叶う「時間術」とは【経験談】
「もっとやりたいことがあるのに」「やりたいことが終わらない」など、「時間が足りない!」という悩みを持っている方は少なくないのでは?漫画家の川瀬はるさんも、3歳のお子さんの育児をしながらフリーランスとして働く中で、やりたいことをする時間が足りない・時間があっても疲れていて集中できないといった悩みに直面していました。『やりたいことがどんどん叶う! じぶん時間割の作り方 』(はちみつコミックエッセイ)では、吉武麻子さんのタイムコーディネートに出会い、自分にとって心地のよい時間の使い方と向き合っていく過程が描かれています。詳しくお話を伺いました。 <漫画>『やりたいことがどんどん叶う! じぶん時間割の作り方 』(はちみつコミックエッセイ)より ■「タイムコーディネート」は厳しくも苦しくもない時間術 ――川瀬さんご自身は「時間」について、どのようなことで悩んでいたのでしょうか? 一人の時間がうまく取れなかったことです。育児と仕事が同時に始まった頃から「時間がない !」が口癖になっていました。 私は一人で過ごす時間が長く必要なタイプです。子どもが生まれてから「一人の時間の確保」について、より切羽詰まって考えるようになりました。 とくに乳児の頃はワンオペ育児の時間が多く、子どもの安全面などを考えると、24時間心のアンテナが立ちっぱなし。常に張り詰めた感覚が続いていたので、心を休めるためにも一人の時間をとにかく求めていました。 ――今まで色々と「時間術」を試したとのことですが、失敗談を教えていただけますでしょうか。 タイムコーディネートに出会うまでは、ストイックな時間術しか知らなかったので、とても真似できない……と落ち込んでいました。自分はだらしない性格なので、そもそも時間術は向いていないとも思っていました。 時間に追われる生活を変えたいとは思っていたものの、毎日疲れすぎていて、生活を変化させる勇気もなく、今日一日を乗り切ることを優先していたんです。 ――本書の監修である吉武麻子さんと出会ってから、「時間術」への印象が一番変わったことはどんなことでしょうか? 厳しくないし、苦しくないのに、上手くいく!という点です。時間術といえば、すでにある手法を真似したり、自分には合わない方法であっても、気合いで耐えたり乗り越えたりするイメージがあったのですが、タイムコーディネートは、自分の心地よさを中心に置くもの。 自分を痛めつけることもなく、かといって自分を甘やかすわけでもない。自分を律して、私はどう生きたいか?を軸に、時間をコーディネートしていくという考え方に驚きました。とてもわかりやすく教えていただき、これならできるかも、やってみたい!と思いました。 ■「自分との約束」を守るようになった ――川瀬さんがタイムコーディネートを通じて得たことをお話しいただけますか? 美容院や病院など、先々の個人の予定を入れていく癖がつきました。毎回終わったらすぐに次回の予約を入れています。 吉武さんからは、自分が時間をうまく使えているか判断するポイントとして「自分との約束を守る」ということを教えていただきました。他人が関わる約束は守ろうしますが、自分との約束は破りがちです。でも自分との約束を守れない=その約束はどうでもいい=自分のことも大切にできていないことだと気づいて……自分との約束を「いつ」守るのかを決めるようにしました。それからは、日記や英語学習アプリ、ダイエットなど、やってみたかったことをマイペースに継続できるようになりました。 それまでは継続が苦手で、何をやっても続かないことが多かったんです。でも、日記の置き場所を仕事用デスクではなく、子どもを見ながら書ける食卓に変えたり、ダイエットの記録は、解説やアドバイスが多いと億劫になることがわかったので、極々シンプルなアプリに変えたりと、自分の心地よさを中心に工夫をしたら、特別な努力をしなくても続けられるようになりました。 ――メンタル面での変化はありましたか? 自分に対する信頼感が増してきたと感じています。私自身が変わったとか、意志が強くなったということはなく、むしろ相変わらず怠け者だったり、意志が弱かったりするのですが、「自分との約束」を守り続けているという事実が自分に対する信頼や自信につながり、「私」という存在を、より大事にしていきたいという思いが深くなりました。 そのおかげか、最近は心地よく感じられない人や場所から距離を置くということもできるようになりました。「今までどれだけ自分を大切にできていなかったんだ!」と気づけたことも、タイムコーディネートに出会えてよかったことのひとつです。 ■「何かのせい」にすることも必要だった ――「今までできないことの大半を『時間がない』せいにしてきた」という振り返りをされています。子育て中に時間がないことも、時間の制約があることも、事実であると思いますが、タイムコーディネートを学んだうえで「時間がないことを言い訳にしていたこと」をどのように振り返っていますか? うまく言えないのですが……育児に関しては「時間がないから、ここまでしかできないのは仕方がない」と考えることで、大変な時期を無事に乗り越えて来たのかもしれない、と今では思っています。 現実的にすぐには解決できないことや十分にできないことを、一旦「何かのせい」にして保留にすることが自分には必要だったという感じでしょうか。なので、時間がないことを言い訳にしてきた日々を否定的にはとらえていません。 もし同じように過ごしている方がいたら、「そうだよね、今は大変だよね」と背中をさすりたいです。でも、今の状態のまま、思うように時間を使えないまま、ずっと生きていくのはなんだかな……と、もし思っているのなら、吉武さんのタイムコーディネートを知ってもらえたらと思います! ――本書では、「子育て中は仕事をセーブしなくてはいけない」「自分の時間を充実させるのはわがまま」という「声」とも向き合っていますが、今はそういった不安からどのくらい解放されていますか? 以前よりだいぶ解放されてきたと思います。自分で自分をいじめるようにつっこむことも減りましたし、「私は今、お仕事も大好きで頑張りたい時期なんです」と夫や子どもに正直に話し、仕事が「ブーム」なのだと周りにも理解してもらうことで、より不安が減りました。 ――タイムコーディネートを始めてから、ご家族との関係に変化はありましたか? 我が家はもともと日常的に話し合いをしてきたのですが、「タイムコーディネート」を夫婦で共有したことで、お互いの「心地よさ」をより大切にするようになりました。 どちらかがしんどそうにしていたら、自由時間を確保できるよう声をかけあったり、どうしたら楽になれるか話し合ったりと、より協力しやすい体制になったと思います。 ■「できたこと」に目を向ける振り返り方 ――今でも苦労していることや、なかなか上手くできなくてトライ&エラーを繰り返していることはありますか? つい夜ふかしして後悔したり、予定より仕事がギリギリになってしまいそうでヒヤヒヤすることはよくあります……。 以前はそれが続くと、自己嫌悪や焦りから悪循環に陥ることが多かったのですが、今は1週間の振り返りの時間に「できたことに目を向ける」ようになって、「じゃあ今日から立て直してみよう」と、淡々と仕切り直す癖がつき始めました。仕切り直せた経験の積み重ねが、自分への信頼にも繋がっている気がします。 ――「スケジュールが埋まっていないと落ち着かない」状態になったことはありませんか? あります!そういうときは、心身が元気な状態だったら、ネームを書くなど、仕事につながることに取り組んだり、「自分との約束」を増やしたりしています。具体的には、noteを書いたり、SNSに絵をアップしたり。仕事ではないものの、仕事に近い領域で自分が楽しめるものに取り組むことで、焦りや不安が減って、停滞していた自分の内面が循環していく気がします。 少しでも疲れを感じる状態だったら、休めるチャンスだと思って、思い切って休むようにしています。「休む」という予定を入れるイメージです。タイムコーディネートで睡眠時間を最優先することを教わったのをきっかけに、スマートウォッチで睡眠状態を記録しているのですが、しっかり寝た翌日は明らかに心身の調子が良いので、睡眠の大切さをより実感するようになりました。 【プロフィール】 川瀬はる(かわせ・はる) 長野県生まれ。2021年『私をとり戻すまでのふしぎな3日間』(はちみつコミックエッセイ)で漫画デビュー。『おはよう、しっぽ』(文藝春秋)。 ●X(旧Twitter):@mkawasem ●Instagram:@kawase_haru インタビュー・文/雪代すみれ
雪代すみれ