センバツ甲子園 九国大付、難敵に快勝 11年ぶりベスト8入り /福岡
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第6日の24日、九州国際大付は2回戦で広陵(広島)に4―1で勝ち、準優勝した2011年以来の8強入りを果たした。13安打を浴びせ、4安打の1番・黒田(3年)が2本の適時打で全4打点を挙げる活躍。投げては香西(3年)が初戦に続き完投し、昨秋の中国地区大会優勝、明治神宮大会準優勝の難敵を退けた。準々決勝は27日の大会第9日第1試合(午前8時半開始予定)で、浦和学院(埼玉)と対戦する。【浅野翔太郎、白川徹、山口敬人】 連打、長打――。九国大付が強豪相手に堂々の試合運びを見せ、アルプス席には幾度となく吹奏楽部のヒットマーチがこだました。 一回、相手の三盗から守備が乱れ先制点を奪われたが、二回にすかさず反撃。5番・野田(3年)、6番・小田原(3年)、7番・白井(2年)の3連打で満塁とすると、2死後に黒田が右前2点適時打を放ち逆転に成功した。 その後も相手の好投手・森山(3年)を攻め続け、五回には4番・佐倉(2年)に待望の甲子園初安打。この日3安打の佐倉は試合後「後ろにもいいバッターがいるので、つないでいく気持ちだった」と手応えを語った。 相手投手が代わった八回には2死一、二塁から再び黒田が右越えの2点適時三塁打。母暁子さん(44)は「点に絡む貢献ができてほっとした」と涙を浮かべた。 エース左腕の香西は一回に失点して以降、八回に警戒していた相手の3、4番に連打を浴びるまで三塁を踏ませない危なげない投球。スタンドで応援した野球部の石田崇人さん(2年)は「初戦は緊張していたが、今日は安心して見ていられる」とたたえた。 試合後、アルプス席にあいさつに来た選手たちには万雷の拍手が送られた。古賀眞実同窓会長(59)は勝利を喜び、「次も勝ってくれると信じている」と期待を寄せた。 ◇応援も真剣勝負 ○…九国大付吹奏楽部のOB5人を含む36人は、選手それぞれのリクエストを受け、打者ごとにテーマ曲を演奏。得点が入ると定番曲「イッツ・マイ・ライフ」でアルプス席を沸かせた。松尾一葉部長は「新型コロナの影響で、全国の舞台で演奏できたのは甲子園が初めて。選手を少しでも盛り上げられれば」。応援団も力強い演舞を披露し、今村理々紗団長は「応援団にとっても真剣勝負。応援の力で後押しできた」と充実した表情を見せた。 ◇光った高度な修正力 香西一希投手(3年) 九回裏2死、129球目の変化球で広陵の最終打者を右飛に打ち取ると、涼しげな笑顔で整列するナインのもとに駆け寄った。強打者ぞろいの広陵を散発7安打に抑え、11奪三振。十回を103球で終えたクラーク記念国際(北海道)との1回戦に続く完投は、広陵の中井哲之監督に「このチームがこんなに三振したのは初めて」と言わしめた。 「守備の堅さを信頼し打たせて取る」投球が身上だ。異なる変化を出せるスライダーをはじめ、カーブやチェンジアップなど多彩な変化球で相手打者を手玉に取るが、この日の主役は直球だった。控え捕手の佐藤(3年)は香西のストレートを「速度がないのにホップしてくる。手元で伸びるので遅くても空振りが取れる」と評する。 2桁奪三振について香西は「要所では三振は取りたいけど、あまり記憶がない。低めの変化球を見極められ、振ってくれないから直球、と野田と話して切り替えられた」。高度な修正力も光った試合だった。【浅野翔太郎】 〔北九州版〕