保守派の人たちは、「ゴルフ外交ができないから石破じゃうまくいかないだろう」と言っていますが、石破さんは宗教というもっと強い武器を持っていますよ。プロテスタントのキリスト教徒で、神に選ばれているというカルヴァン派的な感覚を持っていて、トランプ氏と同じ考え方をする人なんです。だから似た者同士で、逆境には強いんです。 池上：そこですよね。実は「ワイド！スクランブル」の開票速報特番の中でトランプ氏と石破氏の共通点は何があるかというと、今回はゴルフではなくてキリスト教だろうという話をしたわけです。そしてこれも以前、佐藤さんから聞いた話ですが、トランプ氏って上から目線のお説教にはカチンと来るわけですよね。安倍さんは、下手に出て懐に入っていったので、石破さんの上から目線に聞こえるしゃべり方ややり方が、トランプ氏を刺激してしまうのではって思うんです。むしろ、今の佐藤さんが言ったように、キリスト教というベースから近づいていく、それしか今のところは手だてはないだろうと思っています。 佐藤：ここで一つポイントがあるんですよ。通訳が入りますからね。通訳にへりくだった英語を使わせるはずですよ。 池上：それなら大丈夫ですね（笑）。 佐藤：トランプ氏は背が高いですし、普通にしていたら石破さんが上から目線にはなりません。それと石破さんはときどき三白眼（黒目の下に白目が現れた状態）になることがあるんですが、「実はあれは神の声を聞いているから、ああいう目つきになるんだ」って、うまくごまかしておけば大丈夫だと思うんです。 池上：1期目は、娘婿のジャレッド・クシュナー氏がトランプ政権を支えていたけれども、2期目は要職に就きません。このルートが使えないということは、日本にとって非常に難しいと言われているし、石破さんじゃトランプさんとはダメなんじゃないのと、みんな思っているけど、実は意外にうまくいく可能性はあるんだよってことは言ってもいいのかなと思いますね。 （構成/編集部・三島恵美子） ※AERA　2024年11月25日号より抜粋