韓国のペット診療 AI診断導入でハイテク化
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【9月7日 AFP】不自然な歩き方をし始めた5歳の愛犬「モッジ」を心配して、飼い主の男性は韓国・龍仁(ヨンイン、Yongin)にある動物病院へ急きょ向かった。その動物病院では、AI(人工知能)による診断が行われている。 ゴールデンドゥードルの「モッジ」は、AIによるX線検査で、膝を脱臼している可能性が22%であると診断された。急を要する事態ではなかったが、手術を回避するためには慎重な治療が必要な状態だった。 「飼い主にとっては理解しにくかったことも、今は獣医師がAIを使ってX線検査の分析結果を示してくれるので、直感的に理解できるし、とても分かりやすい」とモッジの飼い主は話した。 X線検査で分かる異常を、数秒で特定してくれるシステム「X Caliber」は、診断を迅速にし、獣医師の負担を軽くしている。このシステムを開発した韓国の通信大手SKテレコム(SK Telecom)によると、「X Caliber」の疾病検出率は最大で86%に上るという。 獣医師は診断する能力が一変したと話す。 「このシステムが使われる以前、放射線科医のいない病院ではX線検査で撮影された写真を見て『このペットのどこが悪いのだろう?』と、ざっくりと診断していた。AIが導入された今、この診断支援サービスを使って、実際に病気や疑わしい箇所を見つけることができる。(中略)X線検査を使った診断は、かなり効率的になった」と、スカイ・アニマル・メディカルグループ(Sky Animal Medical Group)のオ・イセCEOは話した。 韓国政府の統計によると、同国のペットの飼育数は過去10年で約2倍になった。 世界でも出生率が最も低い国の一つである韓国では、子どもを持つ代わりに「ペットの親」になることを選ぶ人が増えていて、AIによる動物の診療が普及していることは自然な流れだという。 こうしたAI技術への巨額投資を疑問視する専門家もいるが、ペット診療の効率化につながっているとして、歓迎する声もある。 「X Caliber」グローバルチームの責任者は「私たちはこのシステムをAI診療の幕開けだとみなしている。これを基にして、さらに新たな領域への拡大を計画している」と話した。 映像は7月に撮影。(c)AFPBB News