「青春18きっぷ」はもう役目を終えた? “自由”を奪うルール変更、JRの事情は分かるが「独自の魅力」はどこへ行く
SNSで加熱する反発と賛否
JR旅客6社が発表した「青春18きっぷ」のルール変更について、議論が絶えない状況となっている。SNSや大手メディアでも取り上げられ、関心の高さが伺える。 【画像】「え…!」 これが一人旅の「実態」です! 画像で見る!(9枚) 筆者(豊科ホタカ、新聞記者)は以前、この問題に関して当媒体に「青春18きっぷ“改悪”で失われる「豊かな旅」 ネットで不満大噴出、大幅ルール改変の裏にあるJRの狙いとは」(10月29日配信)という記事を書いた。要旨は次のとおりだ。 ・JRグループが青春18きっぷの利用ルールを改変したことに反発が高まっている。 ・新ルールでは、連続した3日間または5日間のみ利用可能で、1枚につきひとりのみ利用できる。 ・これまでは、自由な利用方法ができ、複数人でシェアや日を分けて使うことができた。 ・青春18きっぷは、JR6社が春・夏・冬のシーズンに発売する割安な乗車券で、普通列車に乗り放題だった。 ・利用者の反発はSNS上に多く、特に自由な使い方ができなくなることに不満が集まった。 ・JRの目的は、省力化や自動改札対応だが、利用者の改善要望とは一致していない。 ・幅広い年齢層の利用者が多かったが、ルール変更はその自由度を犠牲にした。 ・ルール変更には「値上げ」的な側面もあり、理由や狙いが十分に説明されていない。 ・以前は並行在来線に乗れない問題があり、改善要望があったが、今回の変更は解決策ではなかった。 ・利便性を損なわずに転売対策も可能だったのではないかとの声がある。 この記事には多くの反響があり、今回はその反応を踏まえて改めてこの問題について考えたい。
久しぶりのチラシ配布
「この冬、『青春18きっぷ』が変わります。」 と題したチラシが、JR各駅で配布されている。雪景色の根室本線を走る普通列車の写真を配した叙情的なデザインは、従来の駅貼りポスターを踏襲している。しかし、持ち帰れるチラシは2015年以降、順次配布が中止されていたため、久しぶりの登場となった。改めて持ち帰り用のチラシを用意した点にも、JRが今回のルール変更の広報に注意を払っている姿勢が見て取れる。 各メディアの記事でルール変更は広く知られる結果となったが、改めて説明しておきたい。青春18きっぷとはJR旅客6社が年3回、春・夏・冬のシーズンに発売するお得な乗車券で、普通列車(快速なども含む)ならば全国のJR線に乗り放題となる。特急や新幹線など、特別料金を必要とする列車には原則として乗れない。 従来は、1枚(1万2050円)で5回分の効力があり、駅の有人改札で日付のスタンプを押してもらい、利用開始する仕組みだった。期間内(従来 = 春季:3月1日~4月10日、夏季:7月20日~9月10日、冬季:12月10日~1月10日)ならば、とびとびの日程でも使うことができただけでなく、複数人でシェアすることもできた。例えば、5人グループで日帰りしたり、ふたりで2日間の旅行に出たり(残り1回分はひとりで使う)、などだ。 しかし、JR旅客6社が10月24日に発表した冬季青春18きっぷの新ルールでは、 「ひとりの連続利用」 に限定されることになった。利用期間は変わらない。さらなる変更点は、従来と同じ1万2050円の「5日用」に加え、1万円の「3日分」が新規設定され、これまで使えなかった自動改札の使用が可能になることだ。