ナイキやトゥルーレリジョンなど多くのD2Cブランドが 卸売事業 を強化:Fashion Briefing
価値観が合う小売業者との提携がカギ
小売不動産開発会社、WSディベロプメント(WS Development)の小売エクスペリエンス担当バイスプレジデントを務めるカリーナ・ドノソ氏は、ブランドは卸売小売業者の「柔軟性の向上」に魅力を感じていると言う。2023年9月にオンライン卸売マーケットプレイス、フェアー(Faire)に出資したShopify(ショッピファイ)のようなハブ企業の新しいツールによって、D2Cの利便性の一部が卸売にもたらされていると同氏は話す。 「卸売は、特に同じような価値観を持つ小売業者と連携することで強力なマーケティングツールになる」とドノソ氏。「卸売は強力な成長戦略であり、購買チームとのやり取りを通じて貴重なフィードバックを得ることができ、購買チームはセルスルー分析や特定のコレクションの業績を提供できる」。
卸売のリスクと課題
しかし、卸売事業に問題がないわけではない。ブランドへの支払いが滞っていると伝えられているサックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)のように、一部の卸売業者が苦境に陥っていることに加えて、卸売収入が減少しているブランドもある。 卸売の主なリスクは、ブランドが他社の運命に委ねられることであり、これは諸刃の剣となりうる。好調な小売店で取り扱われる場合は良いが、苦境にある卸売業者の場合はブランドのビジネスに影響が及ぶ可能性がある。 「卸売事業には固有のリスクがいくつかある」と話すのは、オンライン卸売マーケットプレイス、ニューオーダー・バイ・ライトスピード(NuOrder by Lightspeed)のアカウント管理ディレクター、トム・グローブス氏だ。「ブランドはストーリーテリングやイメージ管理をある程度放棄しなければならず、また生産状況を注意深く監視しなければならない。小売の需要を予測しすぎて過剰生産すれば、ブランドの利益を減少させる可能性がある。だが同時に、ブランドは商品を迅速に配送できなければならないし、小売業者が再注文したいときに在庫不足や配送の問題によって制限されるようなことがあってはならない」。 [原文:Fashion Briefing: More DTC brands are expanding to wholesale through big-box retailers] DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)
編集部