津久見市の麻生さんが「心の輪を広げる体験作文」優秀賞 長年、学校で視力障害の講話活動
大分県津久見市の麻生恒雄さん(71)が、内閣府主催の本年度「心の輪を広げる体験作文」一般の部で優秀賞を受賞した。県内の入賞者は1人のみ。全盲の麻生さんは自身の人生経験を踏まえた講話活動を続けており、未来の子どもたちや社会に向けた思いをつづった。 麻生さんは年1回、市内外の学校へ出向き、視力障害者への理解を深めてもらう講話を30年近く続けている。児童や生徒との触れ合いで感じたことをまとめ、「70歳の記念になれば」と作文の応募を決めた。 講話ではユニバーサルデザインの浸透で障害者への配慮が広がっていることを伝えている。 一方、音声で知らせる交通信号がなかったり、列車で空いている席が分からなかったりするなど、いまだに不便なことがあると紹介。「困っている人を見つけたら勇気を出して声をかけることが鍵だと話している。手助けは決して難しくないことを知ってほしい」 作文のタイトルは「未来への種まき」。自身の話を聞いてくれた若い世代から理解者を増やし、助け合いの輪が広まってほしいと願いを込めた。 麻生さんはパラリンピックアテネ大会(2004年)とロンドン大会(12年)に、セーリング代表で出場した経歴を持つ。障害の異なる仲間と互いのハンディキャップを補いながら世界で戦った話は反応が良く、「子どもたちの目が輝いているように感じる」とほほ笑む。 昨年12月、県庁で表彰伝達式があった。賞状を受け取った麻生さんは「パラ出場が決まった時と同じくらいうれしい。継続は力なりを信じ、学校での触れ合い活動を続けていきたい」と話した。