「警察に結婚詐欺を訴えた」新宿タワマン殺人事件の犯人・実父が明かす“ストーカー中年”の怒り
結婚する気があるならお金を持ってきて
「息子が、長年愛用してきたバイクと車を売ることを決めた。“近いうちに家を出る”と言うので理由を尋ねると、“結婚するかもしれないから”って。交際中の女性から“本気で結婚する気があるならお金を持ってきて”と言われ売却に踏み切ったらしい。家に連れてきたこともない女性だし、そんな話はおかしいよと口を出したが、聞かなかった。息子は30代半ばのころ、同年配の子持ちの女性と結婚し、5年で離婚している。原因は性格の不一致だった。今度の相手はずっと年下で“かわいくて、やさしくて、おとなしくて、いい子だよ”とかばう。2度目の結婚につながればよかったんだけど、心配は的中した……」(和久井容疑者の父親、以下同) 愛車のスポーツカー『アキュラNSX』はマニア垂涎の希少車で、中古販売価格で1400万円の値がつくことも。同じく希少モデルのバイク『ホンダNR』は中古市場にもめったに出ず、買い取り額は新車価格520万円を上回るケースが目立つ。容疑者は2021年末にいずれも売却している。 「車とバイクを売却して得た1000万円以上の金を渡した途端、女性とケンカになり、冷たくされるようになって別れ話になったという。それまでは女性のほうから“店に来て”などと連絡があったのに、連絡が取れなくなった。最初から金目的だったんじゃないかと話したら、息子は“いや、いい子だから”と認めなかった。結婚を前提に、息子は十何年も大事に乗っていた車やバイクを売って金を工面したわけだから、別れるならば金を返してもらおうとしたらストーカー呼ばわりされたんだ」
平沢さんは2021年12月、和久井容疑者について「しつこく言い寄られ自宅前で待ち伏せされた」などと警察に相談。容疑者は口頭注意を受けてもつきまといを繰り返し、翌2022年5月にストーカー規制法違反容疑で逮捕された。
被疑者とのきっかけは人気ガールズグループ
前出の記者によると、起訴猶予処分で釈放されたが、昨年6月まで接近禁止命令が出ていた。その後はつきまといなどは確認されず、平沢さん側からも相談はなかったため落ち着いたかのようだった。 和久井容疑者は逮捕後の取り調べに「1000万円以上渡しており、金を返してもらうつもりだった」などと話している。金は貸したのか、それとも店で使ったのか。 「息子は貸したと言っている。店で飲み食いした費用を返せと言っているわけではない」 それにしても年の差がありすぎる。平沢さんと親密になったのは、韓国の人気ガールズグループ『TWICE』の“推し活”がきっかけだったという。 「ファンクラブの集まりを通じて知り合い、彼女に会うために働いているガールズバーに行くようになった。息子は酒が弱く、今も500ミリリットルの缶ビール1本が限界。彼女がいなければそういう店には行かない。別れたあとは恋愛感情は冷め、結婚詐欺で訴えようとしたが警察に取り合ってもらえなかった」 貯金はなく、車もバイクも売り、配達などの仕事で使う軽自動車だけが残った。 「休日にドライブやツーリングはできなくなり、やることがないから一日中自宅にいた。小学生のころから乗り物が好きでね。“レーサーになりたい”と夢を持っていたので、子ども用のゴーカートを買ってあげ、休みにはそのゴーカートをバンに積んでミニサーキットに連れて行った。腕はよかったんだ」 車とバイクは、半生を伴走してきた存在だった。