ワーママへの''過剰な配慮''が、ママ社員の退職理由に⁉︎ マミートラック解消に向け企業が見直すべきこと
ともに、管理職を経験したワーキングマザーでもあります。 一体何が、ワーママのキャリアの壁になっているのか。 ふたりの対談からわかったのは、「キャリアップしたいママ」と「上司」の間に埋まらないギャップがあり、それが図らずもワーママの機会損失につながっていること。 さらに、上司のあり方が、男性も含めた下の世代が引き上げられるかどうかに大きく関わっていることが見えてきました。
「差別なんかしません!」と言うけれど。フェアな競争環境にいない女性たち
── 今回は、子育てしながらキャリアアップしていきたいワーママが、マミートラックに陥らないため、あるいは、そこから抜け出すためのヒントを得たく、おふたりにお声がけしました。 浜田 いきなりなんですけど、これってママの問題じゃないと私は思っているんです。ママがこれ以上がんばることは、難しいと思いませんか? 稲田 私たちmogはワーキングマザー専門の転職支援をしているのですが、サービスを利用するママさんを見ても、もういっぱいいっぱいなほどがんばっている状況だなと感じます。 浜田 今の日本のワーキングマザーの多くは、寸暇を惜しんで仕事と家庭を両立しています。そういった状況なのに、マミートラックのようなことを「ママの問題」と矮小化してきたから、状況が変わってこなかったと思うんです。 稲田 「女は家庭、男は仕事」の時代ではなくなりましたが、今は、女性が家庭も仕事もがんばっていて男性が仕事に偏りがちなところが、ワーママの一番の負担になっていると感じますね。 浜田 ママの負担に絡めて言うと、私は講演などで中小企業の経営者の方によくお話しさせていただく機会があるのですが、多くの経営層は女性と男性が同じ土俵で競争できていると思っているんです。いやいや、違うんですよと。
浜田 男性が育休を取得したとしても女性は妊娠・出産というライフイベントがあるから、どうしても"重り"を背負わざるを得ないんです。さらに家事育児をほぼ1人で担っていると、男性と同じ100メートルという距離を走っていても、女性だけが5キロも10キロも重りを背負って、しかもいくつもハードルを超えながら走っている状況です。そこに無意識の差別、偏見というハードルまであります。 D&Iを推進する企業の方々は、「うちは男女で差別なんかしません!」と言うのだけれど、無意識のバイアスが働き、男女で機会の不均衡が生じているケースが多い。たとえば、大きなクライアントはどっちが持っているか、大事な会議にどっちが多く連れて行ってもらえるか。そういったデータをきちんと見ていったときに、やっぱり偏っていることが多くて。そこにはバイアスがあると思うんです。 稲田 そのバイアスというのは、「育成しても、女性は結婚と出産を経ると管理職にはなれないだろうから、男性に重要な仕事を任せたほうがいい」といったバイアスですか? 浜田 そう思っています。企業の経営層の方々は、女性の管理職を増やしたいと思っているけれど、中間管理職くらいの上司が自分のメンバーをアサインする時に、女性だから、ママだから、といったバイアスがないかはあまり考えられていない気がします。