【どうなる日本のエネルギー政策】連立・政策協議によっては経済も生活も行き詰まる、ドイツの脱原発路線から問う
自民党・公明党を中心とした政権か、立憲民主党を主体にする政権に変わるのか。11月11日に開催予定とされる特別国会での首相指名選挙に向け、さまざまな動きが報道されているが、主要な政策が一致しなければ連立内閣は短命に終わる。 【図表】脱原発を進めたドイツのエネルギー事情 主要政策が一致する内閣が今回はたして誕生するのだろうか。少なくとも一致が必要な政策の一つはエネルギーだろう。 自民党と立憲民主党は、共に脱炭素を目指しているが、原子力発電の活用についての政策は大きく異なり、加えて太陽光発電設備などの再生可能エネルギー(再エネ)の導入により電力供給の100%を賄うのか両党の考えは違う。 エネルギー政策はエネルギー価格と供給に影響を与え、結果として経済と生活も異なる道筋を辿ることになる。それだけに、異なるエネルギー政策を持つ政党が連立を組むことは難しい。 たとえば、再稼働を進めたい政党と短期での原発ゼロを主張する政党が同じ政権に就くのはありえない。 主要政党のエネルギー政策とそのもたらす影響を、脱原発のドイツの例も見ながら考えてみたい。
これだけ違う主要政党のエネルギー政策
議員数が多い自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党の衆議院選挙時の公約の中のエネルギー政策、中でも原子力と再エネ政策を以下に簡単にまとめた。 自由民主党 徹底した省エネに加え、再エネ、原子力など自給率向上に資する脱炭素電源を活用。再エネを最大限導入し主力電源化。安全が確認できた原発の再稼働を進め、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発と建設に取り組む。脱炭素を成長分野とし150兆円の官民投資を引き出す。 立憲民主党 30年の再エネによる発電割合50%、50年100%を目指し、2050年までのできる限り早い時期に脱化石燃料・原子力発電を達成。30年に最終エネルギー消費30%削減(2013年比)、50年60%削減。30年までに省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現。 日本維新の会 新規制基準の許可を得ている原子力発電所の早期再稼働を進め、小型原子炉(SMR)や、高速炉など、安全性の高い次世代型原子炉の実用化に向けて研究開発に取り組む。再エネの導入については、規制の見直しを不断なく行うとともに、地域社会がうるおう仕組みづくりを構築。 国民民主党 再エネを中心とした自立・分散型エネルギー社会の構築を目指す。再エネ賦課金制度の検証と見直しを行う。原子力は電力供給基盤における重要な選択肢。安全基準を満たし地元同意を得た原発の再稼働を進める。次世代軽水炉、SMRなどの次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新設を含める)を進める。 公明党 徹底した省エネや再エネの主力電源化に向けた取り組み等を更に強化。脱炭素電源を最大限活用。安全基準を満たす原子炉の再稼働を認める。安全性を飛躍的に高めるための革新的な技術の研究開発を進める。可能な限り原発依存度を低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会を目指す。