『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ダニー・フィリッポウ監督&マイケル・フィリッポウ監督 自分の内なる声を信じろ!【Director’s Interview Vol. 379】
大事にしたリアルさ
Q:劇中、「talk to me」の降霊術の様子がスマホで共有され、それを見た少女に「フェイク」だと一蹴されます。何気ないシーンですが、「talk to me」自体にリアリティを付与する大きな効果がありました。その辺は緻密に計算されているのでしょうか? ダニー:その通り! リアルに感じることをとても大事にしているよ。幽霊がいるとか、エイリアンを見たとか、皆色んなものを投稿しているけれど、あれは全部フェイクだよね。皆そういうものに慣れきっているからね。 マイケル:僕たちはこの世界やキャラクターをリアルに見せたかった。リアルに感じれば、何かが起こったときの衝撃はすごく大きい。だから全てをなるべくリアルに描きたかったんだ。 Q:冒頭の自殺シーンや「talk to me」で降霊した瞬間など、声が出るほど驚きました。その“驚かせる”表現はどのように作っていったのでしょうか。 ダニー:観客がどんなことで驚くのかは分からない。だからとりあえずやってみる。例えば、冒頭の顔を刺すシーンは、自分たちで撮っているときは「正直どうかな…」と思っていたんだけど、そのシーンを観た人の反応はとても良かった。すごく驚いたと。そこで初めて「あれはうまくいったんだな」と思ったんだ。だから、とりあえず撮ってみるしかないんだよ。 マイケル:キャラクターに重みを与え、シーンを積み上げていくことは意識しているね。そうすることで、よりショックが大きくなる。驚かせることに抑制はしないけれど、無駄に長引かせることのないように気をつけているよ。 Q:人物の背中から捉えたアングルとカメラワークも印象的で、没入感もありました。 ダニー:観ている人が一緒に動けるような感じが欲しかった。キャラクターと一緒にパーティに行き、キャラクターが見ているものを観客も一緒に見ている感覚にさせたかったんだ。 マイケル:だんだん色んなものが見えてくるという効果もあったね。そこのフレーミングやカラーリング、音も含めて、スタッフと一緒に一生懸命考えたよ。
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