兵庫の鉄工所に、優秀な人材はこう集う! 中小企業が実践する人的資本経営
「異分野共創の場作りを目指して」
最後に本インタビューを受けて、アトツギである本丸さんのメッセージをお届けしたい。 私が子供のころは、機械が動く音、油や素材の匂い、従業員の笑い声を、街の日常生活の中で感じていたものでした。いつしかそれらは世の中でネガティブなイメージへと変わっていき、モノと情報、映えが溢れる今の時代においては、ちょっと“のけもの”的な存在です。こんな背景を私たちの業界は時代のせいにしがちですが、変化に適応すること、変化を楽しむことをしてこなかった私たちにも原因があると思います。 まだ、間に合います。 今の若い方々は、私たちよりも多彩なアンテナを持っています。私たちオトナができることは、人の繋がりと少しのお金を用意し、彼ら彼女らと「モノ・コト・イミを創造する場」を作ることです。そして任せることです。「格好つける」という言葉は「」を付ける、枠や型にはめるという意味から始まったと言われていますが、カッコつけない、枠にはめない「場」が起点となり、知らない間に分野を超えた技術と知恵が集まると思います。 参考:BE THE LOVED COMPANY REPORT 2.0(経済産業省近畿経済産業局) 経済産業省近畿経済産業局では、「人(社員)の幸せを中心に据えた経営」を実践する企業群の発掘と当該経営の共通項と再現性に向けた可能性の探求、当該価値観の機運醸成を図るべく、55社の中堅・中小企業のご協力のもと、(1)中小企業8社の人的資本経営と企業価値との関係性の解像度の向上、(2)他社との対話を通じ、自社の人・組織作りに向き合う機会の創出、(3)各社の人的資本経営と主体的な社員が育つ取組の体系化を行い、社員の幸せを目的とした組織行動とその価値創出との相関にかかる「愛される会社」の価値転換モデル(概念図・案)を取りまとめた、「BE THE LOVED COMPANY REPORT 2.0」を発表しました。 本稿は本レポートの内容を一部抜粋の上、再編集したものです。
沼本和輝