熊本バス・鉄道5社「交通系ICカードやめます」 停止は年内予定、公共交通の運賃収受は本当にこれでいいのか?
バリアフリーとユニバーサルデザインの違い
バリアフリーとは、既存のバリアーを何らかの形で補うことであり、ユニバーサルデザインとは、最初から誰もが使えることを意識してモノやサービスをデザインすることである。 【画像】えっ…! これがバスドライバーの「年収」です(計13枚) ユニバーサルデザインは1985年頃、自身も車いすの利用者だった米国の建築家ロナルド・メイスによって提唱された。彼は、誰もが使いやすくするためのユニバーサルデザインの7原則を提唱した。 1.公平:誰もが不利になることなく、みんなが公平に利用できること 2.柔軟:利用する上での自由度や柔軟性が高いこと 3.簡単:必要な情報が直感的にすぐ理解できること 4.理解:難しく、長い説明書等を読まなくても使い方がすぐに分かること 5.安全:うっかりミスや危険につながらないこと、失敗してもすぐに克服できること 6.省力:無理な体勢をとることなく、少ない力で楽に使えること 7.空間:誰もが操作しやすいスペースや大きさに仕立てること これらは交通環境の構築においても重要である。
公共交通の柔軟性
ここでひとつ誤解がある。ユニバーサルデザインというと、ノンステップバスやエレベーターなど、 「誰もが移動しやすい手段」 を作ることだと思っている人が非常に多い。筆者(西山敏樹、都市工学者)が大学で講義をしていると、この点を誤解している学部生や大学院生を多く見かける。公共交通にとって重要なのは 「柔軟性」 である。例えば、駅のホームにエレベーターしかなく、エスカレーターや階段がなかったら、ラッシュ時のホームは人であふれかえるだろう。 ・車いすの利用者 ・ベビーカーを押す小さな子どもの親 ・重い荷物を持った出張者 はエレベーターを使う。 ・少し具合の悪い人 ・軽いけがをした人 はエスカレーターを使う。健康のために階段を好む人もいる。このような組み合わせによって、誰もが自分の好みに応じて柔軟に移動できるようになれば、システム的にはユニバーサルデザインに達していると考えられる。