熊本地震から8年、再開した熊本競輪場 地元ファンでにぎわい「ファンに愛される公営競技の姿」映し出す
メインスタンド3階の特別観覧席は入場料1,000円(本場開催時。場外は500円)で利用可能。前面ガラス張りで眺めがよく、400バンクに生まれ変わった美しい走路を一望できる。 かつての500バンクの“滑走路”とゴール位置を変えず、長い直線を生かす形で再建されたバンク。選手たちからは口々に「カントがきつい」と聞かれ、再開シリーズ2日目には8レースで万車券が飛び出した。レース展開を余すことなく見られる特観席はバンク特徴を把握し、予想に生かすのにもぴったりだ。
“ほっ”と温まる競輪場グルメも
1コーナー近くの離れには『輪音食堂』がこの日めでたくオープンした。かわいらしいオレンジ色ののれんに「よってって」、扉には熊本弁で「食べていかんね」と気軽に入れる心遣いが。 出迎えてくれたのは明るいスタッフさんたち。店内には次から次へとお客さんが訪れ、大盛況の再開シリーズに瞳を輝かせていた。カウンターにはテイクアウトのお弁当やからあげ串が並び、どれもおいしそう! 編集部は「チャンポン(800円)」と「肉ごぼうごはん(500円)」を注文。チャンポンは太麺にうまみが詰まったスープが美味! たっぷりの野菜に、大ぶりのちくわが入り食感も楽しい。肉ごぼうごはんは甘めな味付けでほっとする味。どちらもおいしくいただいた。
焼き魚やアジフライ、とんかつなど定食類も充実していて、競輪場メニューの定番「ホルモン煮込み(500円)」も人気だそう! アルコール類の販売もあるので、飲む・打つを存分に楽しめる。
大盛況の再開シリーズを終えて
熊本の競輪ファンの“熱”と“愛”を随所で感じられた今回の熊本競輪再開シリーズ。再開までの道のりは一筋縄ではいかず一時は廃止案も含め検討されたが、無事ファンのもとに「競輪のある生活」が戻ってきたことを心から喜ばしく思った。 大盛況の開催を終え、地元代表として開幕シリーズに参加した中川誠一郎は「あの雰囲気の中で走れて、これまで踏ん張ってきて本当に良かった」と万感の思いを語った。
令和5年度から競輪場再開を担った西真一郎所長は「ファンと選手との距離が近く、スタンドからの熱い声援が熊本競輪場の魅力のひとつであることを今回の再開で改めて実感できた。これからも、たくさんの人が訪れ、愛される施設を目指していきたい」と率直な心境を述べた。 いつまでもこの熱気とともに、愛される施設でーー。満員の熊本競輪場を前に、公営競技はファンとともにあることを身に染みて感じた。 今後も9月2日から男女の上位選手が集う本場FI開催が、10月には熊本記念が控えている。競輪を愛する皆さんにはぜひ一度、熊本競輪場に足を運んでみてほしい。