プロジェクト2025、始動の準備着々-トランプ次期政権に執筆者ずらり
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領が選挙運動中に「最低だ」とこき下ろした政策マニフェスト「プロジェクト2025」。同氏自身が起用する政権人事が明らかになるにつれ、実現する見通しが鮮明になってきた。このプロジェクトに関わった人物、少なくとも5人が次期トランプ政権に加わることになりそうだ。
プロジェクト2025が明るみに出たのは約1年前。選挙運動が過熱していた時期だった。保守系シンクタンクのヘリテージ財団が主導し、反移民や、反リプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)、小さな政府を支持する保守派の意見を取りまとめたのがこの政策マニフェストだった。民主党候補のハリス副大統領はこれをトランプ氏の「過激な」見解と表現し、格好の攻撃材料としていた。
このマニフェストでは気候変動対策ルールの撤廃や、労働者保護の縮小、トランプ氏に忠誠を誓う人材の公職登用、教育と商務、国土安全保障3省の部分もしくは全面解体などが提唱されている。
トランプ氏は選挙運動中、このマニフェストとは距離を置いてみせ、何も知らないと主張。提唱されている中身の一部について「まったくばかげており、最低だ」と非難していた。
このプロジェクト2025に関与した人物で、少なくとも5人が次のトランプ政権に起用される方向だ。
同マニフェストで連邦通信委員会(FCC)に関する章を執筆したブレンダン・カー氏は、そのFCCの委員長に起用された。同氏はプロジェクト2025の中で、コンテンツ規制が厳し過ぎるとして保守派の攻撃対象になっている大手ハイテク企業、とりわけメタのフェイスブックとアルファベットのグーグルについて、保護を限定することを提唱している。同氏は指名を受けた直後にソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」に投稿し、「検閲カルテルを解体し、米国人に言論の自由を取り戻す」と訴えた。
マニフェストの中核部分である連邦官僚制度の縮小と、大統領のコントロール強化について執筆したラス・ボート氏は、行政管理予算局(OMB)局長に指名される方向だとCBSニュースが伝えた。ボート氏が重点を置いたのは、政府の規模縮小と、政治任用者の権限を強化し官僚の決定を覆すことができるようにすること。政権スタート時から大統領令を積極的に発令することも奨励。トランプ氏自身もその方針だと、同氏の広報担当ジェイソン・ミラー氏は述べている。