【会社に聞きづらいQ&A】来期から給与が「年俸制」になりますが、残業代はもらえるのでしょうか?
社員の成果や業績が給料に反映されやすい「年俸制」を採用する企業が増えてきています。社員のモチベーションアップにもつながりやすいといわれている年俸制ですが、残業代について気になる人も多いのではないでしょうか。 本記事では「年俸制でも残業代はもらえるのか」「固定残業代やみなし残業代を含めることは可能なのか」について、詳しくご紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
年俸制とは?
年俸制とは、社員一人ひとりの前年の成績を踏まえて先に年単位で給与額を決定し、それを毎月支給するというものです。 終身雇用制度が浸透している日本では、社員の年齢や勤続年数を考慮して給与額を決める「月給制」が採用されている企業が多いといわれています。 しかし、近年はグローバル化の影響を受け、海外のように年俸制を導入する企業が増えてきているようです。年俸制だと、前年に高い成果を上げれば翌年の年俸が大幅にアップする可能性もあるため、仕事にやりがいを感じやすくなるというメリットもあります。
年俸制でも残業代はもらえるのか?
年俸制だと「1年分の給料がすでに計算されているので、残業をしても残業代がもらえないのでは? 」と思う人も多いのではないでしょうか。 労働基準法第三十七条にあるように、法定労働時間を超えて働いた場合や、休日出勤・深夜残業をした場合は、割増賃金が支払われなければなりません。そして、時間外労働や休日出勤・深夜残業に対して割増賃金が支払われるのは、月給制でも年俸制でも同じです。割増率については、時間外労働と深夜残業の場合が2割5分以上、休日出勤の場合が3割5分以上となります。 ※出典:厚生労働省 愛媛労働局「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)」
年俸額に固定残業代やみなし残業代を含めることは可能?
企業によっては、社員に支払う給与にあらかじめ一定時間分の残業代を含めた「固定残業代」や「みなし残業代」の制度を導入しているところもあります。 年俸制であっても、年俸額にあらかじめ固定残業代やみなし残業代を含めることは可能です。 ただし、定められた時間を超えて労働した場合は、その分の割増賃金が支払われます。労使トラブルを防ぐためにも、会社は年俸額に固定残業代やみなし残業代が含まれていることを社員にきちんと説明し、年俸額のうちどの部分が残業代に当たるのかを理解してもらわなければなりません。口頭だけではなく、書面での通知が望ましいでしょう。