ウクライナ危機で浮かび上がる米国LNGの戦略的重要性
Copyright (c) 2021 SHINCHOSHA All Rights Reserved.
ロシアがウクライナ国境近くに大規模な軍を展開 し圧力を高めていることから、ロシアとウクライナの間の、そしてウクライナを支援する欧米との間の緊張が大きく高まっている。ロシアによるウクライナ軍事侵攻があるのではないか、との深刻な懸念も生まれ、侵攻を抑止し、軍事衝突発生を回避するための外交的取り組みも欧米とロシアの間を中心に活発に行われている。米ロ首脳間、あるいは外交トップの間なども含め様々なチャネルで対話・意見交換が実施されているが、現時点では事態打開の糸口は見えていない。 NATO(北大西洋条約機構)の 東方不拡大の法的保証を求めているウラジーミル・プーチン大統領 は、米欧からの回答に対して、「ロシアの根本的懸念が無視されている」との趣旨の発言を行い、不満を表明している。その後も、問題解決に向けた対話のチャネルが閉ざされたわけではないが、事態は膠着状態にあり、軍事侵攻の可能性も含め、ウクライナ情勢は高い緊張が続いている。 この地政学リスクが国際エネルギー市場を揺さぶっている。昨年12月以降、 原油価格は上がり続けてきた が、1月末から2月にかけてさらに上昇、指標原油WTIの先物価格はついに90ドルを突破した。世界の石油在庫が低水準に止まる需給逼迫下で、今後のOPECプラスの増産が順調に進むかどうかの懸念が価格押し上げにつながっているが、それ以上に重要なのはやはりウクライナ情勢緊迫による地政学リスクの影響である。
本文:5,117文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
小山堅