米政権、日鉄の買収阻止へ 月内に最終判断、米通信社報道
【ワシントン共同】米ブルームバーグ通信は10日、バイデン大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収を安全保障上の懸念を理由に阻止する方向だと報じた。月内に最終判断するという。阻止された場合には、日鉄とUSスチールの両社が訴訟を起こす可能性があるとの見方も紹介した。 日鉄は買収実現に向けて全米鉄鋼労働組合(USW)などと調整を進めてきた。買収計画が頓挫すれば、戦略の見直しは必至だ。報道を受けてUSスチールの株価は10日午後の米株式市場で急落。一時は前日比で21%超下落した。ロイター通信によると、取引が一時停止となる場面もあった。 日鉄は「公正な結論を得るために、あらゆる手段を検討する」とコメントした。買収が完了した場合、USスチールの全従業員に1人当たり5千ドル(約75万円)の一時金を支給することも発表した。 買収を巡ってはUSWが反対を表明。USスチールの本社が大統領選の激戦州にあったことも影響し、トランプ次期大統領が選挙戦で「阻止する」と訴えていた。