作業効率上昇しケガ減少...米アマゾン新技術、配送変えるフィジカルAIとは【WBS】
アメリカのアマゾン・ドット・コムは9日、配送に関する新技術の発表会を開催し、最先端の配送センター内部を公開しました。キーワードはAIとロボットを融合させた「フィジカルAI」です。AIで配送の現場は、どう変わるのか取材しました。 アマゾンが内部を公開したアメリカ・テネシー州にある配送センター「MQY1」。3000人以上の従業員とその倍近い6000ものロボットが一緒に荷物の仕分けと発送を行う最先端の配送センターです。 ひときわ現場になじんでいたのが、AIを搭載した自律型ロボット「プロテウス」です。人やロボットの位置を確認しながら、最適なルートを自ら判断します。いま配送センターへの導入を少しずつ進めています。 「ロボット工学とAIの融合。それが『フィジカルAI』だ。ロボットによる自動化が人間の能力を伸ばす助けになることが開発の重要なテーマだ」(「アマゾン」ロボティクス部門責任者のタイ・ブレイディ氏) ロボットを通したフィジカルAIにより配送センターの自動化が進むことで、作業を25%早めるだけでなく、従業員が怪我をする確率も30%以上減らすことができるといいます。
さらに配送センターから配送先のいわゆる「ラストワンマイル」の効率化にもAI技術を活用します。 「こちら配送トラックの荷台ですが、こちら(上部)にカメラがあり、荷台に荷物を置いていくと○と×で届けるべき荷物を一瞬で判断することができます」(ニューヨーク支局の田口智也記者) これまでドライバーは停車するたびに、自ら届け先の名前や住所などを確認して荷物を選ぶ必要がありましたが、この「ビジョンアシスト技術」でAIが一瞬で届けるべき荷物を識別し、ドライバーに指示してくれます。 「ドライバーの隣にあるモニターに『届けるべき荷物が3つある』と記されています」(田口記者) 最新の状況も確認でき、これによりドライバーの負担を67%軽減し、配送にかかる時間をトラック1台につき30分以上短縮できるといいます。 2025年初頭からアメリカ国内の電動配送トラック1000台に導入される予定で、将来的にはこの技術を日本を含む全世界の配送現場に広げていきたい考えです。 アマゾンはAIで配送の現場をどう変えていこうとしているのか。開発責任者であるアマゾンのジョン・コルッチ氏がテレビ東京の単独インタビューに応じました。 「AIによりどこか特定の分野が劇的に進化するというよりも、既存のプロセスや製品に段階的に導入され、それら全てを向上させていくだろう。それらの進化を足し合わせることで、大きなインパクトをもたらす」(ジョン・コルッチ氏)