京大、肺と肝臓を同時に生体移植 世界初、男児に両親と祖父が提供
京都大病院は4日、全身の臓器に異常が生じる重い疾患の10歳未満の男児に対し、両親と祖父から肺と肝臓の一部を同時に生体移植する手術を実施したと発表した。肺と肝臓それぞれの生体移植や、脳死状態の提供者からの同時移植は実施されているが、生体の同時移植は世界初としている。病院によると、男児は退院し、家族ともに経過は良好という。 日本は海外と比べると脳死による臓器提供者が非常に少ない。一方で生体移植は提供者にもリスクがあるため慎重な対応が必要。男児は命に関わる状態だったことから複数の医師と家族が検討を重ね、同時移植に踏み切ったという。 手術を執刀した京大の伊達洋至教授(呼吸器外科)は「複数の臓器が悪化している人でも、移植治療の可能性を示すことができた」と話した。 男児は関東に住み、2歳で再生不良性貧血を発症。遺伝子変異による疾患「先天性角化不全症」と診断されていた。4歳の時に妹から骨髄移植を受けた。その後、肝臓と肺の機能が著しく低下し、臓器移植が避けられない状態になった。