モバイルアプリを運用すると売上成長率は高くなるのはホント? 米国市場データに学ぶモバイルコマースの現状
EC事業者にとって、モバイルアプリの開発・導入は当たり前になりつつあります。顧客にとってアクセスしやすく、売上アップにも貢献するからです。米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』によるデータとその分析によると、モバイルアプリを導入している小売事業者は、未導入事業者よりも高い売上成長率を記録しています。記事ではデータを基に、モバイルアプリに関する米国小売事業者の実情を解説します。
米小売事業者によるモバイルコマースへの投資額は4480億ドル
米国の小売事業者はモバイルアプリの開発・提供への投資を続けています。デジタル市場の調査を行う米Comscore(コムスコア)が2024年初頭に発表したレポートによると、米国事業者におけるモバイルコマースへの投資額は2023年に4480億ドルへ達しました。 ■ モバイルアプリ実施企業と非実施企業の差 ただし、『Digital Commerce 360』が北米の小売事業者を年間Web売上高でランク付けしたデータベース「北米EC事業トップ1000社 2024年版」によると、全ての小売事業者が自社のモバイルアプリを通じて商品を販売しているわけではありません。 2024年にデータベース内で、最も高い業績を上げているECサイトのうち、モバイルアプリを使用している企業の割合と、モバイルアプリを使用していない企業と比較して、それぞれがどの程度の業績を上げているかを分析しました。 分析結果によると、ECサイトのトラフィックアップにモバイルアプリが大きく影響していることがわかりました。 『Digital Commerce 360』が「Similarweb」でデータ分析したところ、2023年の小売事業者トップ1000社に入っている事業者のユーザーは、ECサイトに訪れたユーザーのうち69.2%がスマートフォンやタブレットからのアクセスでした。 このことは、消費者に自社のサービスや商品を販売する上で、これらのデバイスからアクセスしやすくすることが不可欠であることを示しています。 トップ1000社のデータベースにおいて、自社独自のモバイルアプリを持つ小売事業者の順位の中央値は209位、アプリを持たない小売事業者の中央値は同584位でした。