レシピなし“小さな発明” 86歳が「牛ずし弁当」を伝授 牛肉と酢飯の絶妙な味わい 自慢の味を後世に 人気レストランに継承
特集は、味の継承です。かつて料亭を営んでいた男性が考案し、人気を博した「牛ずし」。それを長野市のビュッフェレストランが受け継ぐことになりました。味を後世に残したいという男性の思いを伝えたこの「特集」もきっかけの一つになっています。
■かつてデパートで人気の弁当
牛肉をショウガと一緒に甘辛く煮込み、酢飯の上に乗せた「牛ずし」。かつて、県内外のデパートで販売された人気の弁当です。 考案したのは、かつて料亭を営んでいた田幸袈佐昭さん(86)。 牛ずしを考案・田幸袈佐昭さん: 「肉とショウガの千切りのしぐれ煮の味のバランス、これがすし飯に合うかどうか」
この日、田幸さんは長野市のビュッフェレストランで「牛ずし」の作り方を教えました。 レストランがメニューに加えることになったのです。 田幸袈佐昭さん: 「ありがたいです、ぜひ引き継いでいただければと、なにぶんよろしくお願いします」
味を後世に残したいと願ってきた田幸さん。 感慨ひとしおです。
田幸袈佐昭さん:(2009年取材年): 「本業の料理店業がいろんな世の中の流れで壁にぶつかり将来性に不安を感じた。仕出し用の、大衆向けのお弁当をやれば、売り上げをカバーできるのではと」
牛肉と酢飯の絶妙な味わいで人気となり県内外のデパートでも販売されるようになりました。 しかし、2002年、高齢のため田幸さんは料亭を閉じ、牛ずし弁当の販売もやめました。 復活を望む声を受けて、特別に実演販売などもしましたが、田幸さんが望んでいたのは地元の店が味を受け継いでくれること。
これがきっかけとなり、長野市篠ノ井のおやき店「おかあさんの味処 たんぽぽ」が作り方を教わり、現在も牛ずし弁当の予約販売を行っています。