付録付きムックでお馴染み…宝島社が「シニア向けヘルス路線ムック」の開発を進める納得の訳
操作性が簡単で、単機能で、わずかな説明でできるもの
本がなかなか売れない時代にシニア向けの健康系ムックは、1つの大きな鉱脈に見える。しかし、難しい面もあるのだという。 「例えば皆さんが関心を持たれるテーマとして、血糖値や糖尿病、認知症予防などの書籍は多数刊行されているのですが、どうしてもグッズに落とし込むのが難しいんですね。 スマートウォッチのような計測できるアイテムも考えましたが、正直、付録付きムックのコストではどこまで正確な数値が出せるかという不安もあり、専門の企業さんにはかなわないな、と」 また、難しいのは、付録付きムックとして書店やコンビニで購入できるお得感を得られる価格設定だ。これらは編集者といろいろな部署で協議して決められており、原価によって幅があるが、高くても3000円~4000円台。「興味はあるけど、なかなか手が出せないアイテムの入門機として手に取っていただき、さらに本格的にやってみたい方は専門のメーカーさんの商品を購入していただく」という位置づけだと言う。 企画を考える上で高田さんが参考にしているのは、家電量販店の美容機器コーナー。日々進化している技術の動向をチェックするためにしばしば足を運ぶそうだ。 「本格的すぎるとコストも含めて実現するのが難しいですよね。 例えば量販店に行ったときに『このマッサージ機のこの部分とこの部分の機能を省いたものだったらできるかな』などと発想することも多いです。いろんな機能がついているものではなく、なるべくシンプルで、手軽な価格というのがキーワードです。 実際、量販店などをよく見ていると、コスト面だけではなく、多機能の製品が今は多すぎて、複雑すぎると感じることもあるんですよ。 例えば自分の親がこれを使いこなせるかなと思ったら、多機能すぎてわからないんじゃないか、と。説明書をしっかり読まなければいけないような商品は、便利でも結局、全く使わないなどということになりがちですから。操作性が簡単で、多機能じゃなく単機能で、わずかな説明でできるものが今の時代性に合っているなと思います」 ちなみに、高田さんの自信作は、サウンドヒーリング協会監修の『癒やし音が流れる睡眠ルームライト BOOK』。実際に富士山麓、やんばるなどで収録した夜のせせらぎや月夜の滝、虫の声、太鼓など、体が心地良く感じる9種の音が流れるライトだ。 「現代人が求める一つのキーワードに『睡眠』があり、特にコロナ禍以降はその傾向がさらに強まっていると感じ、商品化しました。個人的にも寝室ではずっとつけっぱなしですし、我が家で飼っている猫もリラックスした様子です(笑)。 今後も睡眠に関するアイテムをはじめ、書店やコンビニでお得に買えるアイテムの可能性をいろいろ考えていきたいですね」 取材・文:田幸和歌子
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