絶品料理とスイーツが大人気~老舗カフェチェーン「珈琲館」
マクドナルド出身社長の常識破りカフェチェーン再生術
1970年創業の国内では老舗のカフェチェーン「珈琲館」が変化を遂げている。 さいたま市の住宅街にある南浦和店は、ランチ前の午前11時ですでに満席。「おいしい」「種類が豊富」と、食事が売りのカフェに変わっていた。 【動画】絶品料理とスイーツが大人気~老舗カフェチェーン「珈琲館」
例えば「焼きたてホワイトグラタンパン」(930円~。店舗によって価格は異なる)は香ばしいフランスパンをくり抜き、チキンが入ったホワイトソースを詰めて焼き上げた一品。「炭火焼ビーフとしめじの贅沢ボロネーゼ」(980円~。現在は販売終了)には挽肉ではなく、炭火で香ばしく焼き上げた牛肉を使い、食感と食べ応えを押し出している。 多くのカフェチェーンでは、フードメニューはセントラルキッチンで作られ、各店舗で温めて提供されているが、「珈琲館」ではほとんどが店内で手作り。何度もテスト販売を繰り返し、自信のあるメニューに刷新したという。 また、創業した頃からあったホットケーキをよりおいしくするため、ほぼ全ての店舗に専用の銅板を導入。熱伝導率が劇的にアップし、生地の水分を飛ばさず、ムラなく焼き上げることができるようになったという。
「トラディショナル・ホットケーキ ホイップクリーム付き」(730円~)は味わい深く進化。冬のこの時期は限定メニュー「とろける濃厚チョコソースのホットケーキ」(1280円~)も販売。スフレタイプのふわふわ食感が主流の中、昔ながらのホットケーキが大人気になっている。 看板のコーヒーも人気。他のチェーン店では、コーヒー豆は多くて5~6種類だが、「珈琲館」では11種類から選ぶことができ、評判となっている。ほとんどのカフェチェーンでは豆をあらかじめ挽いておくが、「珈琲館」では風味を損なわないよう、客のオーダーが入ってから豆を挽き、一杯ずつ丁寧に抽出するコーヒーにこだわっている。 熾烈なカフェ業界をリードしているのは「スターバックスコーヒー」「ドトールコーヒーショップ」「コメダ珈琲店」の3強。そんな中、「珈琲館」は全国に215店舗(2024年12月)、中高年層を中心とした新たな顧客を引き込んでいる。 地域密着型の店舗だけでなく、2023年は東京・銀座にも初出店。大人向けの優雅な喫茶店として、確かな評判を呼んでいる。「珈琲館」の売り上げはここ4年でアップ。コロナ前の約140%になった。 「珈琲館」を運営するC-Unitedは、東京・港区の芝大門に本社を構え、社員は約1000人。 「珈琲館」は個人オーナーの店から始まり、チェーン展開で拡大していったが、外資系やセルフ業態店の台頭による経営難から、2008年、UCCグループが買収。それでも業績は伸び悩み、2018年に投資会社に事業譲渡。そしてC-Unitedが経営を引き受けた。 親会社が何度も変わることに、社員は「正直、『またか』と。訳が分からないまま親会社が代わり、その時は期待していなかった」(珈琲館東日本事業部・坂部勇樹)と言う。 そんな「珈琲館」を蘇らせたC-United社長・友成勇樹(61)は「僕は成功してうまくいっている事業が欲しいと思わない。うまくいっていないほうが『何とかしてあげたい』『何とかできるのではないか』と思うから」と言う。