海底熟成のワイン販売 南伊勢ワイナリーの会「まろやか」 三重
【度会郡】南伊勢町産のブドウを使ったワイン造りに取り組むNPO法人「南伊勢ワイナリーの会」はこのほど、「海底熟成ワイン」の販売を始めた。五ケ所湾の真珠養殖いかだを活用して半年間、ワインボトルを海底に沈めて熟成。試飲した会員らも「酸味のかどが取れてまろやかになっている」と手応えを感じており、来年も継続して取り組みを進める。 町産の新鮮な魚介類に合うワインを造り、町の活性化につなげようと、平成25年から町と連携してブドウの試験栽培を開始。同町は高温多雨でブドウ栽培に適さないといわれていたが、ビニール製の雨よけを作り、獣害対策などを行いながら少しずつ収穫量を増やし、ワインの委託醸造もできるようになった。 5年間の試験栽培を経て同会を法人化し、酒類販売業免許を取得して本格的に活動を始めた。代表の中島幸一さん(74)=同町五ケ所浦=や岡本至さん(76)=伊勢市=ら町内外の約11人が所属し、同町五ケ所浦でメルローやシャルドネ、甲州など計六品種、約400本を栽培する。本年度は計930キロを収穫し、醸造は伊勢市の「伊勢美し国醸造所」に委託した。
昨年は海のある町の利点を生かそうと、海底熟成に初めて取り組んだ。2020年産の白ワイン(甲州)16本をかごに入れ、5月から養殖いかだにつり下げて海に沈め、11月に引き揚げた。今回は試験的に行ったが、来年は本数を増やして実施するという。 海底熟成ワイン(750ミリリットル)は一本5千円で、九本を販売。海底熟成していない2020年産白ワイン(2700円)もあり、飲み比べもできる。2024年産のワイン四種類(750ミリリットル)は一本3千円で1月から販売を始める。 中島さんは「ワインをきっかけに町おこしにつながれば」、岡本さんは「ワインを味わってもらう機会をつくり、南伊勢ワインの魅力を知ってもらいたい」と話した。 購入の取り次ぎは「喫茶グリーン&グリーン」(中島さん)=電話0599(66)1720=へ。