大谷翔平は”アジア人差別”の壁を壊した…「オオタニ以前・以後」で変わった日本人のイメージ
大谷は米・野球において唯一無二の選手
「大谷のドジャース移籍が国を越えた大きなニュースになるのは、文化の面で少なからぬ意味があります」ポッドキャスト「Asians in Baseball」のホスト、ナオミ・コーは2023年12月のエピソードでそう語った。大谷翔平は任天堂の創業者ではないし、武術の指導者でも医者でもない、といずれも昔から典型的なアジア人の仕事とみなされてきた例を挙げ、こう続けた。大谷は野球選手なのだ。それもただの選手ではなく、唯一無二の選手なのだ。 大谷をめぐる熱狂は、今週のドジャース公式ショップでも明らかだった。クリスマスの買物ラッシュが過ぎたにもかかわらず、店はアジア系の客でごった返した。大谷のユニフォームのほか、大谷の似顔絵や名前に日の丸や「SHO-TIME」のロゴをあしらったTシャツを買い求める人々だ。中国語、日本語、韓国語、英語が店内を埋めつくした。 東京からきた保険会社勤務の24歳、アナブキ・シュンペイは、自分用に大谷のユニフォーム1着と、恋人のために背番号17が入ったボールを手に入れた。店には祖父と両親、兄弟2人と訪れた。一家は休暇を取って旅行中で、主な目的地はディズニーランドだが、大谷の公式グッズを買える機会を逃したくなかった。そこで70ドルをはたいてウーバーを手配し、ドジャー・スタジアムまでやって来たのだという。 一家は日本で試合が放送される早朝に起きては、大谷が出場するエンゼルスの試合をテレビで観戦してきた。成果を出すために努力を続ける大谷の姿を見ていると、今日も頑張ろうという気持ちになった、とアナブキは話す。 「日本人として誇りに思います。僕も彼みたいに力を出せるよう、精一杯頑張りたい」 ソウルから来たというウジェ・リーは、56ドルの大谷Tシャツを吟味しながら、大谷には単に野球の能力だけでなく人柄にも惹かれる、と話した。チームメイトやファン、ひいては対戦相手にも敬意をもって接する姿だ。