亡くなった夫(妻)が加入していた年金を発見。遺族は受け取れる? 税金はかかるの?
自動移管された確定拠出年金がないか調べてみましょう
これはすべての方にあてはまるわけではありませんが、亡くなられた方が過去に転職や一度退職した後再就職したことがある場合は注意が必要です。 前の勤務先の退職時に、積み立てた確定拠出年金を再就職先が指定する運営管理機関へ移管手続きしていない場合、年金の原資が国民年金基金連合会へ自動移管されている可能性があります。 統計によると、2024年2月現在、自動移管された方は約127万人に上り、その内55.9%の方は残高が残っている状態(※4)です。つまり、約70万人の方は確定拠出年金が事実上放置されていることになります。 自動移管された場合、1年に一度国民年金基金連合会から年金資産額や今後の手続き方法などが記載された「定期通知」が送られますが、宛先は年金の権利者ですので、遺族の方は気付かないことが多々あります。 もし、故人に転職や退職の経験があった場合、気になる方は問い合わせして確認することをお勧めします。 (遺族を受け取れる権利) 「死亡一時金」を請求できます。 (税務上の取り扱い) 「退職年金」の場合と同様に、相続税の課税対象になります。500万円×法定相続人の数で算出される非課税限度枠も同様に使えます。
年金の手続きは確実、着実に
在職中に夫(妻)を亡くされた場合は、故人の葬儀などに加えて、会社での退職手続きも行わなければならず、遺された方には負担がかかります。その上、今まで把握していなかった各種年金のことも対処しなければならないのは大変かもしれません。 時間はかかるかもしれませんが、年金の一つひとつについても、本記事を参考に、会社や年金事務所、保険会社で手続きをし、税務署や専門家などに確認しながら、間違いのないように進めてみてください。 出典 (※1)国土交通省 公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果の公表 企業単位で 99.2%、労働者単位で 92% (令和6年3月29日付)P1 (※2)日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) (※3)厚生労働省 令和5年就労条件総合調査概況 P12 (※4)国民年金基金連合会 iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2024年2月) 執筆者:酒井 乙 CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
ファイナンシャルフィールド編集部