亡くなった夫(妻)が加入していた年金を発見。遺族は受け取れる? 税金はかかるの?
現役の会社員だった夫(または妻)が亡くなり、残された配偶者が戸惑うことの多い手続きの1つに、故人が加入していた年金の受け取りがあります。年金は預金や不動産のような今ある財産とは違い、将来もらうものですから、本人が亡くなるまで配偶者はその存在に気付かないことがあるからです。 そこで、会社員の方が主に加入している年金の種類、亡くなられた場合に遺族が受け取れる権利、そして受け取る際に税金がかかるのか、の3点について解説します。
厚生年金に加入していた場合、遺族厚生年金を請求できる
企業にお勤めの方が加入している代表的な年金が、厚生年金です。 厚生年金は、原則として企業にお勤めの方や公務員、所定労働日数などの条件を満たしたパートやアルバイトの方が加入する公的年金の1つです。亡くなった夫(妻)が会社員であれば、まず加入していると考えてよいでしょう。 (例えば建設業においては、令和5年10月の国土交通省の調査によると、厚生年金の加入率は企業単位で99.5%、労働者単位で95%となっています(※1)) 在勤中の標準報酬額や加入期間などに応じた年金額を、原則65歳以降生涯にわたって受け取ることができます。 (遺族が受け取れる権利) 受給前や受給中の方が亡くなった場合、遺族の方は次に挙げる要件を満たせば、遺族厚生年金を受け取ることができます(※2)。 1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき 2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき 3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき 4. 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき 5. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき ただし、受け取る方の年齢や性別によって、次のような制限があります。 ・子のない30歳未満の妻は、遺族年金の支給が5年に限られる。 ・子のない夫は、妻の死亡時55歳以上であれば受け取れるが、遺族基礎年金を受給できる場合を除き、受給開始は60歳からとなる。(つまり、55歳未満では受け取れない) ・子のある夫で55歳未満の場合、子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)に年金が支給される。 ・子のある夫で、55歳以上、かつ遺族基礎年金を受け取れる方に限り55歳から受給できる(遺族基礎年金を受け取れない場合は、60歳から受給できる)。 なお、やむを得ない事情がある場合を除き、遺族厚生年金は配偶者の死亡日(権利発生日)から5年で時効となります。万が一思い当たる方は、放置せずに年金事務所に相談するようにしましょう。 (税務上の取り扱い) 遺族厚生年金は非課税です。つまり、相続税も所得税もかかりません。申告も不要です。