植物由来の“マグロの赤身”!? 魚の刺し身の代替食品に注目:味や見た目そっくり、SDGsへの貢献も
まるで魚シリーズ、海外中心に好評-あづまフーズ
居酒屋でおなじみの「たこわさび」の開発で知られる三重県菰野町の「あづまフーズ」。日本ハムに先駆け、2021年から刺し身の代替食品「まるで魚シリーズ」を販売する。 水産資源の恩恵を受けてきた同社も、相次ぐ魚の不漁や、それに伴う原料の高騰などを背景に、持続可能な漁業を目指してプラントベースの代替水産品の開発に着手した。こんにゃく粉をベースにマグロのほか、サーモンやイカといった人気のすしネタがそろう。特にマグロとサーモンは白い筋まで再現しており、「見た目がそっくりなので、本物の刺し身と勘違いしたまま食べ続ける人もいる」(同社)ほどだ。 動物性エキスを使用しないことから、2022年にNPO法人ベジプロダクトジャパンのヴィーガン認証を取得。そのかいもあってか、「ベジタリアンやヴィーガンの多い、米国やカナダなどへの輸出が中心」(同社)で、販売量は右肩上がりだという。国内ではベジタリアン料理専門店などに加え、精進料理を振る舞う寺からも注文があるそうだ。今後はラインナップを拡大するとともに、調味料などで味付けした「漬け」の商品化も目指している。
「だいたい(代替)海鮮丼」を期間限定販売-ファミマ
大手コンビニのファミリーマートは今年2月、東京と神奈川の一部店舗で「だいたい(代替)海鮮丼」を販売。ネタはウニやカニ、イクラ、ネギトロ、ウナギのかば焼きの代替食品で、「だいたい海鮮丼を食べた気分になる」というシャレたネーミングだ。複数の代替食材を組み合わせた商品は異例で、トレンドをリードするコンビニならではだ。 今回は期間限定であったが、「水産資源の持続可能性に貢献する原材料の使用は、今後も前向きに検討していきたい」と同社。こうした環境問題への意識の高まりや健康志向を反映し、魚介の刺し身などの代替食品の開発は、今後もますます盛んになっていきそうだ。
【Profile】
川本 大吾 時事通信社水産部長。1967年東京生まれ。専修大学を卒業後、91年時事通信社に入社。水産部で築地市場、豊洲市場の取引を25年にわたり取材。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社、2010年)、『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(文藝春秋、2023年12月)。