日本代表MFが海外移籍…広島が解決すべきボランチ問題 指揮官、判定“怒り”の一戦から上昇できるか【コラム】
大迫敬介が明かすボランチの人選「チャンスが巡ってくる選手も」
シーズンの折り返しを目前に控えた段階で、広島の3敗は全20チームのなかでもっとも少ない。一方で引き分け数が8と2番目に多く、なかなか勝ちきれない試合が続いた点が、首位をキープする町田に勝ち点で9ポイント差の5位と離されている要因でもある。ただ、その町田に初黒星をつけたのは広島だった。 18試合でマークした総得点34は、町田と鹿島アントラーズに3点差をつけるリーグ最多。総失点19もガンバ大阪とヴィッセル神戸、町田、アビスパ福岡に次いで少ない。放ったシュート数283本はリーグ最多で、相手に放たれた被シュート数140本は同最少。一連の数字が広島の強さを物語っている。 川村とともに森保ジャパンに名を連ねる、守護神の大迫敬介も「まだ何も終わっていない」と前を向く。 「退場者が出るまでは自分たちのスタイルを出せていたし、マリノス相手にアウェーで五分五分のゲームができていた。これからも自分たちのスタイルは変える必要はないけど、個人的には失点が続いているところも含めて、そこを改善できれば逆に勝ち点3を拾える確率は上がると思っている。自分たちが対策される、という試合もあると思いますけど、相手の対策を上回るだけのクオリティーを出していきたい」 シーズンの折り返しとなる22日の次節は、再び敵地で柏レイソルと対戦する。佐々木が復帰する一方で、マリノス戦でボランチを務めた満田が出場停止となり、野津田岳人はタイのパトゥム・ユナイテッドへ移籍した。 「もちろん頭のなかにはあるが、この場で話すことではないと思っている。ひとつ嬉しいのは、佐々木翔が戻ってこられること。守備を再び強固なものにしながら、次の試合に向けて準備していきたい」 ボランチの人選を問われたスキッベ監督は明言を避けた。指揮官の思いを汲むように大迫が言う。 「もちろん拓夢(川村)がいなくなった穴は痛いけど、それを埋めるだけの選手もウチには多くいる。逆に拓夢がいなくなったことでチャンスが巡ってくる選手も出てくると思う。不幸中の幸いというか、中2日で次の試合がすぐにくる。黒星を引きずっている暇もないし、次の試合へ向けて切り替えていきたい」 佐々木が復帰する最終ラインは混乱をきたさないだろう。問題は松本泰志と組むボランチを誰にするのか。限られた時間でチームの士気を上向かせるメンタル面でのアプローチを含めて、広島の底力が問われようとしている。 [著者プロフィール] 藤江直人(ふじえ・なおと)/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
(藤江直人 / Fujie Naoto)