「面白い人」と好印象を与える自己紹介のコツとは?【プロが解説】
「初対面の人にうまく自分を伝えられない」「新しい出会いがあっても仕事につなげられない」など、SNSや異業種交流の場、新規顧客への挨拶回りなど、初対面の人への自己紹介を苦手にしている人は少なくありません。第一印象で面白い、興味深い人だと好感をもってもらい、今後の人間関係につなげる自己紹介にするためにはコツがあります。ブランド開発やコミュニケーション戦略のプロデューサー・横石崇さんに聞きました。
今の時代にふさわしい自己紹介にアップデートしよう
自己紹介をアップデートしていますか? かつての自己紹介と言えば、社名と部署名を伝えることが重要であり、仕事の起点になっていました。しかし「組織の時代」から「個の時代」に変わっています。会社の内外で、組織や部署を越えたメンバーが集まりチームが編成されるプロジェクト型の仕事が増えているのではないでしょうか? そんなとき、求められているのは役職ではなく、「この人は何ができて、このチームにどんな貢献できるのか」「何が好きで、どんなスキルをもっているのか」という情報です。自己紹介もそうした個と個がつながるための情報提供にアップデートする必要があります。 ◆名刺交換と自己紹介は違う 初めての相手とは、名刺交換から入ることも多いでしょう。名刺から分かるのは、会社の規模やブランド力、仕事上の役職など社会的な信用を示すものです。名刺交換はいわば「信用の交換」。これからの自己紹介で大事なのは、名刺による信用だけでなく「信頼の創造」です。
自己紹介で面白い人物だと期待されるポイント
では、どのような自己紹介を行うと面白いという印象を与えることができるのでしょうか。そのポイントをいくつかご紹介します。 ◆覚えてもらうより期待されることが重要 自己紹介では、覚えてもらおうと思いがちですが、人は忘れる生き物です。人は記憶したことをどれぐらいの速さで忘れるかを実験したグラフ、「エビングハウスの忘却曲線」によれば、人は24時間後には約7割を忘れています。 突拍子もない自己紹介やインパクトのある名刺で覚えてもらうことよりも、目指したいのは相手の期待を引き出すことです。経営学者のピーター・ドラッガーは「コミュニケーションの源泉は期待である」「人は自分自身が期待する事象しか知覚できない」としています。 「この人となら何か面白いことをやれそうだ」「あの人ならこんな課題にどんな発想をするだろうか」などと期待してもらうことが重要なのです。 ◆想像力をかきたてて相手の期待値を生み出す 引っ掛かりのある自己紹介で、期待を生み出す方法があります。自分が現在担当している仕事や提供できる価値を、何かに見立てたり抽象化したりすることで、相手の想像力をかきたて、質問したくさせるのです。 例えば、以下2つの自己紹介の場合、どのような効果があるでしょうか。 a:キャリアコンサルタントをしている山田と申します。 b:“ジャングルジム型のキャリアづくり”を応援する仕事をしています。 aは王道の自己紹介ですが、bは「ジャングル型キャリアって何」と質問したくなる。関心をかきたて対話が生まれやすくなります。 ◆未来を語ってポジティブな感情を引き出す 自己紹介は今の自分を語るものと思いがちですが、未来を語ることも大切なコツ。会社名や部署名や肩書などの「名詞」ではなく、「何をしているか」「何をしたいか」動詞で考えてみましょう。 例えば、以下のような自己紹介であれば、相手の期待を引き出す効果があるのはどちらでしょうか。 a:○○食品の販売促進で、親子料理教室を担当しています。 b:「私は、これからは“推しの時代”になると思っています。長年の愛用者が多い〇〇食品では、親子料理教室を開いて“わが家の味”を伝承する推し活プロジェクトを広めています」 現在の仕事内容をそのまま伝えるよりも、こうなったらいいなと考える未来や、今後どんな期待を自分自身に持ってほしいかまで含めて語れると、相手のポジティブな感情を引き出すことができます。