中国の不動産対策、危機終わらせるには規模小さ過ぎる-アナリスト
(ブルームバーグ): 中国政府の最新の不動産市場支援策は、3年近く続いている危機でなかなか解消されない未販売住宅の問題に照準を定めている。しかし、今回の対策の規模では不動産不況を終わらせるには小さ過ぎるとアナリストらは指摘する。
購入者が中古住宅を選ぶ傾向が強まる中、新築住宅販売の落ち込みはここ数カ月で加速している。そのため、空き家住宅や空き地の在庫はここ数年間で最高の水準に達しており、新規建設が抑制され、大手国有企業を含むデベロッパーの債務不履行が増える恐れがある。
17日に発表された支援策では、中国人民銀行(中央銀行)が3000億元(約6兆5000億円)の資金枠を設け、完成済みの住宅在庫の買い取りを担当する国営企業向け融資に充てられる。エコノミストらは未販売の住宅在庫に比べ、この措置の規模が小さいことや、同措置が完全には実施されないリスクについて懸念を示している。
中国、低迷する不動産市場の支援に向け大規模な措置を発表
当局者らは、人民銀のプログラムが5000億元相当の銀行融資を奨励し得ると指摘する。だが、これでは国内の空き家の集合住宅のごくわずかにしか対処できない。エコノミストらはその規模を数兆元と見積もっている。
TSロンバードのチーフ中国エコノミスト、ローリー・グリーン氏は同プログラムについて、デベロッパーの財務負担軽減に必要な額には「程遠い」と指摘した。
このプログラムでは、地方政府が集合住宅を手頃な価格の住宅に転換する責任を負う。新華社通信によると、何立峰副首相は地方政府が住宅を適正な価格で取得し、手頃な価格の住宅に変えるべきだとの政府の考えを伝えた。しかし、銀行がこの資金枠をフル活用するかどうかについては疑問が残る。市中金融機関の関与が「資金展開のスピードと効果を制限する」とグリーン氏はみている。
賃貸住宅プロジェクトを対象とした人民銀による過去の市中銀行向け融資プログラムでは、活用された資金は2%にとどまった。在庫解消を狙う新たなイニシアチブは既に8都市で試験的に行われ、人口流入が見られる地域で最もうまく機能したが、これは全ての主要都市に当てはまる条件ではない。