【解説】デジタルボランティアが演説映像など拡散…斎藤元彦氏再選の背景にSNSの存在感「パワハラ・おねだりなかった」真偽不明の投稿も
「好意的な発信が増え『それが正しいのではないか』と皆が思い始める」
青井キャスター: 思い起こせば、都知事選挙の石丸旋風もそうでしたけど、SNSを使った選挙が今、当たり前になっているということなのでしょうか。 法政大学大学院 白鳥浩教授: はい。選挙のあり方が、ネットを駆使して変わってきてるっていうことも1つの事実だと思います。今何をやっているのか、ハッシュタグを付けて投稿すると、即時的にそれを見た人はそこに集まっていく。今までの選挙とは人の集め方もかなり違う形になっているんじゃないかと思います。 あと、1つの投稿から、二次的な切り抜き投稿や拡散というのが多く、1つの投稿が10とか100にもなってくる。好意的な発信がそれだけ増えていくと、何かそれが正しいのではないかと皆が思い始める。SNS時代の特徴だと思います。 青井キャスター: 切り抜きなんていう話もありましたけど。ただ、その斎藤氏をめぐっては、真偽不明の情報が飛び交っていたという話も聞くわけですよね。 宮司愛海キャスター: 例えば「パワハラ・おねだりエピソードも大体デマ」「まだテレビや新聞のデマを信じて、パワハラやおねだりをしたと思っている」などという投稿も相次いでいたそうです。 青井キャスター: まだパワハラの有無については百条委員会の結論が出ていない中での選挙戦でしたが、SNSにこの不確かな情報がずっと出回っていたということですね。 法政大学大学院 白鳥浩教授: 百条委員会がまだ終わっていないので、あくまでも斎藤さんは推定無罪という状況でして、そんな中、パワハラがなかったという風に断言するということは、斎藤さんを応援している人のSNSの投稿が拡散していったということだと思います。その情報を見た若者なんかが信じた結果、投票につながっていく、そういうことがあったのではないかと思います。 SNSは非常に文章が短く、流れてきた情報が検証できないということが多いんです。怪しいものでも多数決でのような雰囲気で多くの情報が流れてくるので、そうすると、(見た人は)それがひょっとしたら正しいんじゃないかと思い始めます。そこに関しても「やっぱり斎藤さんやってないよね」みたいな雰囲気で投票してるところがあるんじゃないのかと思います。 また、演説などでも多くの人が集まってるのを見ると、「こんなに支持されている人が嘘をつくわけがない」と思ってしまう。そういう流れの中で、両陣営とも誤情報が拡散してるところがあったんじゃないかと思います。 青井キャスター: 真偽不明の投稿は、斎藤氏以外もありました。 宮司キャスター: 対立候補の元尼崎市長の稲村和美氏について、例えば「当選すると外国人の参政権が成立する」「1000億かかる県庁舎の建て替えを推進する」などといった投稿がSNSで相次いだんです。稲村候補はいずれについても、ホームページ上で否定するということがありました。 稲村候補は、落選確実になった後、「何が争点だったのか。斎藤候補と争ったというよりも、何と向き合ってるのか違和感があった」などと話しています。
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