流れに乗って勝利を呼び込んだルメール

［ＧⅡ毎日王冠＝２０２４年１０月６日（日曜）３歳上、東京競馬場・芝１８００メートル］ 【渡辺薫＆柏木集保　私たちはこう見た】柏木　去年と同じ前半５ハロン５９秒台のペースで、勝ち時計も去年より０秒２速い程度。１～１０着がコンマ５秒差に収まる大接戦なので、明確に力関係が出たとは言えませんね。 　渡辺　レース上がりが３３秒７。掲示板も道中５番手以内が入れ替わっただけの「行った行った」に近い内容だったからな。 　柏木　勝ち馬のシックスペンスは古馬との初顔合わせの中で勝ったのは立派でした。上がりは３３秒３と、前々につけている中で切れ味のあるしまいを使えていましたし、ＧⅠ取りへの可能性を大いに感じる内容でした。 　渡辺　後ろの馬が用なしの展開の中で３～４番手につけたのは鞍上のファインプレーだな。決め手は一枚違ったし、何より前走比プラス１４キロで出走してきたとなれば…。本番の鞍上次第だが、上積みはあるだろうし、ＧⅠでもむげにはできないだろうな。 　柏木　２着ホウオウビスケッツ以下はどうみますか？ 　渡辺　２着馬は函館で連勝した勢いそのままだったな。ハナへ行かされた形でも長い直線を最後まで我慢したのは力をつけている証拠。少なくともＧⅡレベルでなら今後もチャンスはあるよ。３着エルトンバローズも時計など去年と全く同じパフォーマンスとはいえ、現状もうワンパンチ欲しいところ。結局、４着のヤマニンサルバム、５着のシルトホルンと、掲示板内はほぼ先行力のある馬だかりだったな。 　柏木　で、問題は人気を裏切った７着ヨーホーレイクと１０着ローシャムパーク。てっきり復活したかと思っていた前者はベストなはずの距離で手応えも絶好。それでも最後がジリ脚になったあたり、今日のように道中の流れが速くない競馬だと決め手がもうひとつなのでしょう。後者に至っては五分の発馬にもかかわらず見せ場もなく情けない結果でした。 　渡辺　中間の追い切りが芳しくなくてオレは△まで印を下げたんだ。ＧⅠで道中マクっていけるほどしぶとい脚力のある馬なのに、全くの無反応だったからな。おそらく体調面と距離不足だろう。 　柏木　どこか一線級の古馬らしい迫力に欠けましたね。勝ち馬と同じ３３秒３のしまいを繰り出したとはいえ、本質的に切れ味勝負は合わないのかもしれません。 　渡辺　時計は例年通りで内容も著しく崩れていない。さらに昨日にひと雨降った馬場でのこの時計ならば…全体レベルは例年通りといったところかな。 　柏木　僕は疑問ですね。今年はグレード制導入以降、初めてＧⅠ馬が出てこない異例の年。今まで〝スーパーＧⅡ〟なんていわれていましたが…ＧⅠ勝ちのない３歳馬が２年連続で勝利するあたり、そろそろこのレースの位置づけを再考しなければならないのかもしれません。